等質空間の Maurer–Cartan 形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/24 09:59 UTC 版)
「モーレー・カルタンの微分形式」の記事における「等質空間の Maurer–Cartan 形式」の解説
Maurer–Cartan 形式はカルタンの動標構の理論で重要な役割を果している。この場合には、Maurer–Cartan 形式を G の閉部分群に関する等質空間上の 1次微分形式と見なすことになる。つまり、H が G の閉部分群であるとき、G は商空間 G/H 上の H-主束と見なすことができる。このとき Maurer–Cartan 形式はカルタン接続の条件を満たしている。Maurer–Cartan 方程式はこのカルタン接続の曲率が消えていることを表している。主束の接続の言葉に直すと、これは G/H 上の G-主束 G ×H G 上に誘導される接続形式 T [ g , k ] G × H G → g , [ R g X , L k Y ] ↦ X + Y {\displaystyle T_{[g,k]}G\times _{H}G\rightarrow {\mathfrak {g}},[R_{g}X,L_{k}Y]\mapsto X+Y} の曲率が 0 であるということになる。 動標構の理論で考察される対象の一つに、等質空間 G/H の (局所的な) 構造がある。多様体 M の開集合 U 上で写像 sU: U → G が、V 上で sV: V → G が定義され、それらの共通部分上ではある H の元 hU V によって h U V ( x ) = s V ∘ s U − 1 ( x ) , x ∈ U ∩ V {\displaystyle h_{UV}(x)=s_{V}\circ s_{U}^{-1}(x),\quad x\in U\cap V} が成り立っていたとする。このとき、G の Maurer–Cartan 形式の引き戻し θU, θV は Maurer–Cartan 方程式 d θ U + θ U ∧ θ U = 0 {\displaystyle d\theta _{U}+\theta _{U}\wedge \theta _{U}=0} および貼り合わせ条件 θ V = Ad ( h U V − 1 ) θ U + ( h U V ) ∗ ω H {\displaystyle \theta _{V}=\operatorname {Ad} (h_{UV}^{-1})\theta _{U}+(h_{UV})^{*}\omega _{H}} を満たしている。ただし、ωH は H の Maurer–Cartan 形式である。 多様体 M の開被覆 (U)U に対して上記の2条件を満たすような1次微分形式の族 θU が与えられたとすると、M は局所的には等質空間 G/H の構造を持つ。つまり、M の各点の近傍 U から G/H の中への微分同相であって、θU がこの写像を経由する Maurer–Cartan 形式の引き戻しであるようなものが取れる (これはダルブー微分の原始関数の存在から従う)。
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