第一次産業への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 00:54 UTC 版)
第一次産業に外来種が大きく貢献することがある一方で、農林業や漁業に膨大な被害を与え、数十億円に達する被害額を生じさせる外来種もいる。 戦前まで毛皮獣として日本で盛んに飼養されたヌートリア(南アメリカ原産)は、戦後、需要がなくなるとともに放され、中部地方以西の各地の河川や沼地に定着した。イネやニンジン、サツマイモなどの農作物に大きな被害を与えていることが報告されている。ほかに日本の例では、アライグマやキョン、イノブタなどの陸生哺乳類が農作物被害を引き起こしている。 第二次世界大戦中の日本では、食糧増産のために中国から四大家魚(ソウギョ ・ハクレン・コクレン・アオウオ)を利根川水系に導入した。しかし戦後、これら4種は食糧問題の解決には十分資さないまま、ソウギョを水域の除草目的に転用することとなった。ソウギョの過剰な放流で、在来の水生植物群落をほぼ壊滅的な状態に追い込んだケースも見られた。富栄養化した水域ではソウギョによる水草除去が一段落した後、植物プランクトンが大量発生し、水草が繁茂していたとき以上に環境が悪化して問題となった。 1860年代のフランスでは、アメリカから流入した寄生虫ブドウネアブラムシによってヨーロッパブドウが全滅に近い打撃を受け、フランス経済は推定約100億フラン以上のダメージを負った。この被害はフランスだけに留まらず、フランス周辺国や日本でも同様に深刻な被害をもたらした。 19世紀のアイルランドでは、主要食物であったジャガイモにアメリカから流入したエキビョウキンが流行し、ジャガイモ飢饉が発生した。地主や貴族による輸出停止措置などが取られなかった事も影響し、100万人もの餓死者を出すこととなった。
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