病態と病理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/31 01:10 UTC 版)
「HTLV-I関連脊髄症」の記事における「病態と病理学」の解説
HAMの主な病態はHTLV-1感染細胞の増加と活性化に起因する脊髄の慢性炎症によって、脊髄組織の破壊と変性が引き起こされ、病態が形成されると考えられる。病理学的特徴として、肉眼的所見では慢性期には延髄下部から腰髄上部までびまん性の萎縮がみられ、脊髄の横断面では両側索の萎縮と変性が観察される。病理組織所見では慢性炎症過程が脊髄、特に胸髄中・下部優位に見られる。病変は左右対称性で、小血管周囲から脊髄実質にひろがる炎症細胞浸潤と周囲の脊髄実質、すなわち髄鞘や軸索の変性脱落がみられる。主として両側側索に強く認められ灰白質にも及んでいる。HTLV-1の感染は浸潤したT細胞のみ確認され、周辺の神経細胞やグリア細胞には確認されず、HTLV-1が直接的に神経細胞を傷害するのではなく、浸潤した感染T細胞を中心とした免疫応答が過剰になり、慢性炎症病巣を形成・維持することが病態の中心であることを示唆している。 炎症細胞浸潤は胸髄中・下部優位であるが脊髄全体に認められ症例によっては脳幹、小脳、大脳白質にも散在性に認められる。
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