異方性媒質
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異方性媒質(いほうせいばいしつ)とは、結晶の分子・イオンの空間分布が方向に依存する物質のことである。
- 1 異方性媒質とは
- 2 異方性媒質の概要
異方性媒質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/12 10:14 UTC 版)
結晶などの異方性媒質では、分極場Pは必ず光の電場Eと平行ではない。これは物理的には、結晶の物理的構造に関連する特定の好む方向を持つ電場により媒質で起こる双極子と考えることができる。これは次のように書くことができる。 P = ε 0 χ E . {\displaystyle \mathbf {P} =\varepsilon _{0}{\boldsymbol {\chi }}\mathbf {E} .} ここで χ は前のような値ではなく、ランク2のテンソル、電気感受性テンソルである。3次元の成分では ( P x P y P z ) = ε 0 ( χ x x χ x y χ x z χ y x χ y y χ y z χ z x χ z y χ z z ) ( E x E y E z ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}P_{x}\\P_{y}\\P_{z}\end{pmatrix}}=\varepsilon _{0}{\begin{pmatrix}\chi _{xx}&\chi _{xy}&\chi _{xz}\\\chi _{yx}&\chi _{yy}&\chi _{yz}\\\chi _{zx}&\chi _{zy}&\chi _{zz}\end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}E_{x}\\E_{y}\\E_{z}\end{pmatrix}}} もしくは総和規約を用いて P i = ε 0 ∑ j ∈ { x , y , z } χ i j E j . {\displaystyle P_{i}=\varepsilon _{0}\sum _{j\in \{x,y,z\}}\chi _{ij}E_{j}\quad .} と書かれる。χはテンソルなのでPは必ずしもEと共線(colinear)ではない。 非磁性で透明な材料では、χij = χji、つまりχテンソルは実対称である。よって、スペクトル定理に従い、座標軸の適切なセットを選びχxx, χyy, χzz以外のテンソルの全成分を0にすることにより、テンソルを対角化することができる。これにより次の関係が与えられる。 P x = ε 0 χ x x E x {\displaystyle P_{x}=\varepsilon _{0}\chi _{xx}E_{x}} P y = ε 0 χ y y E y {\displaystyle P_{y}=\varepsilon _{0}\chi _{yy}E_{y}} P z = ε 0 χ z z E z {\displaystyle P_{z}=\varepsilon _{0}\chi _{zz}E_{z}} この場合、方向x, y, zは媒質の主軸として知られている。χテンソルの値が実数である(屈折率が全ての方向で実数である場合に対応する)場合、これらの軸は直交することに留意。 よってDとEはテンソルにより関連付けられる。 D = ε 0 E + P = ε 0 E + ε 0 χ E = ε 0 ( I + χ ) E = ε 0 ε E . {\displaystyle \mathbf {D} =\varepsilon _{0}\mathbf {E} +\mathbf {P} =\varepsilon _{0}\mathbf {E} +\varepsilon _{0}{\boldsymbol {\chi }}\mathbf {E} =\varepsilon _{0}(I+{\boldsymbol {\chi }})\mathbf {E} =\varepsilon _{0}{\boldsymbol {\varepsilon }}\mathbf {E} .} ここでεは比誘電率テンソルもしくは誘電率テンソルとして知られるものである。結果として媒質の屈折率もテンソルである必要がある。x軸に平行になるように偏光されたz主軸に沿って伝搬する光波を考える。波は感受性χxxと誘電率εxxをうける。よって屈折率は次のようになる。 n x x = ( 1 + χ x x ) 1 / 2 = ( ε x x ) 1 / 2 . {\displaystyle n_{xx}=(1+\chi _{xx})^{1/2}=(\varepsilon _{xx})^{1/2}.} y方向に偏光した波の場合 n y y = ( 1 + χ y y ) 1 / 2 = ( ε y y ) 1 / 2 . {\displaystyle n_{yy}=(1+\chi _{yy})^{1/2}=(\varepsilon _{yy})^{1/2}.} よって、これらの波は2つの異なる屈折率を感じ異なる速度で進む。この現象は複屈折として知られる現象であり、方解石や石英など普通の結晶で起こる。 χxx = χyy ≠ χzzであるとき、この結晶は一軸性である(結晶の光学軸参照)。χxx ≠ χyy かつ χxx ≠ χzz であるとき、結晶は二軸性である。一軸結晶は2つの屈折率、x,y方向に偏光した光に対する「通常」屈折率(no)とz方向に偏光した「異常」屈折率(ne)を示す。一軸結晶は、ne > noのとき「正」であり、ne < no のとき「負」である。軸に対してある角度で偏光された光は、異なる偏光成分に対しては異なる位相速度を受け、1つの屈折率では説明することができない。多くの場合これは屈折率楕円体(index ellipsoid)として表される。
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