産業・交通・土木遺産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 03:08 UTC 版)
明治時代以降の日本の近代化に寄与してきた産業・交通・土木関連の建造物、具体的には炭鉱、発電所、ダム、水源地、運河、鉄道施設、港湾施設などが、20世紀末頃から文化財の新たなジャンルとして着目されるようになった。文化庁ではこれらを「近代化遺産」と名付け、1993年(平成5年)から「建造物の部」の重要文化財の指定対象となっている。1993年(平成5年)度に指定されたのは秋田市の「藤倉水源地水道施設」と群馬県の「碓氷峠鉄道施設」の2件であった。「藤倉水源地水道施設」についてはダム、貯水池、沈殿池などの施設と土地が、「碓氷峠鉄道施設」については連続する橋梁やトンネルに加え発電所などの付属施設と土地が併せて指定されており、単体の建造物としての橋梁やトンネルではなくシステム全体が保存の対象となっている。「近代化遺産」は、重要文化財建造物の指定件数統計においても他の建造物とは区別してカウントされ、他の建造物が「棟」単位で数えられるのに対し、近代化遺産については、システム全体を重視した「構」(かまえ)という単位呼称が用いられていた。近代化遺産は2003年12月に指定された「舞鶴旧鎮守府水道施設」まで17件(17構)が指定されたが、2005年度からは指定件数統計において「近代化遺産」という分類名称は使用されなくなり、前述の17件は「近代 産業・交通・土木」というジャンルに分類されている。「一構」という単位呼称も用いられなくなり、ダムやトンネルなどについては「一所」、橋梁については「一基」という単位呼称が用いられている。2009年12月08日には海軍の建設による竪坑櫓が指定された。1985年頃から調査研究が始められ、始めは志免町から当時の所有者新エネルギー産業技術総合開発機構へ、負の遺産として「早く解体をして欲しい」と訴えられており、調査も非常に難航をしていた。
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