特許法改正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 09:09 UTC 版)
1993年4月改正・翌年1月施行の特許法改正により、補正の範囲が従来より大幅に制限されるようになった。 1993年改正前の特許法においては、書類の要旨の変更にあたらない範囲に補正が制限されていたが、これは「当初明細書の記載からみて自明な事項」を補正による明細書に含めることができるとされており、かなり緩やかに運用されていた。例えば、リレーを用いて照明灯の回路を開閉して自動点滅させる発明において、当初の明細書の発明の詳細な説明に「リレーの応答特性を変化させることにより明滅周期を変えることができる」と記載されていて、補正によって特許請求の範囲の「リレー」を「並列可変コンデンサを有するリレー」と変更した場合、並列に接続された可変コンデンサによってリレーの応答特性を変えることは周知の技術であり、可変コンデンサを並列に付加することは明細書の記載から自明なことであるから、要旨の変更にあたらないとされ、補正が許されていた。 No amendment shall introduce new matter into the disclosure of the invention.(補正により、発明の開示に新規事項を加えることは許されない。) — アメリカ合衆国特許法第132条 しかし、1993年改正後の特許法においては、補正の範囲は、願書に最初に貼付された明細書または図面の事項の範囲内に限定されることとなった。これは「新規事項の追加禁止」と呼ばれ、アメリカ合衆国やヨーロッパでは新規事項の追加が不可とされていることからも、制度の国際的調和などを図ったものである。 この新規事項の追加禁止は、この特許法改正をうけて1993年11月に公表された特許庁の指針では、当初の明細書または図面に記載されていた事項そのもの、または記載されていた事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出すことができない事項は、補正によって追加することができないとされた。先の例でいえば、可変コンデンサを並列に付加することは自明なことであるが、当初の明細書や図面からは並列可変コンデンサを一義的に導き出せるわけではないので、新規事項の追加となって、補正が許されないこととなる。
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