灰釉壺〈常滑/〉
主名称: | 灰釉壺〈常滑/〉 |
指定番号: | 2553 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1994.06.28(平成6.06.28) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | |
員数: | 1口 |
時代区分: | 平安 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 底がやや小さい平底で胴部の肩が穏やかに張り出して丸みをもつ壺で、肩全体に淡緑色の自然釉が厚くかかっている。胴部は粘土紐を巻き上げて叩き締め内面にはその痕跡をよく残しているが、口縁部は轆轤【ろくろ】作りとする。口頸部は短く直立気味に立ち上がり口は上方で強く外反し口縁はやや肥厚気味に仕上げ内に一条の太い沈線が廻り、初期常滑の特色をよく示している。胎土は知多半島中央部の常滑特有のもので酸化焔焼成により薄茶から黒褐色を呈している。 平安時代後期に猿投窯【さなげよう】の技術を受け継いだ常滑は中世最大の規模を有し、平安時代末から室町時代においては焼き締め陶器である壺・甕という中・大型の貯蔵容器を主製品とし、青森県から鹿児島県にいたる全国各地にもたらされている。さらに、この常滑の技術が越前・信楽・丹波など各地の中世窯業地に大きな影響を与えており、中世陶器のなかでも重要な存在としてその価値が高い。 この作品は、初期常滑のうちでも完存する数少ない壺で、口頸部の立ち上がりや口縁端部の造りなどから十二世紀中頃の作と考えられる。この種の壺の多くは一般的に経筒の外容器や蔵骨器としても用いられていた例が多い。 端正な口造りに、引き締まった頸部と膨らみのある肩がほどよく調和し、また自然釉が勢いよく律動的になだれかかり、初期常滑を代表する卓抜な作調を示している。 |
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