浸透圧調節能力とは? わかりやすく解説

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浸透圧調節能力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 01:52 UTC 版)

モクズガニ」の記事における「浸透圧調節能力」の解説

様々な塩分濃度環境出現することは、モクズガニが非常に強力な体液血リンパ)浸透圧調節能力を有することを意味している。カニ類の中でも海域にしか出現しない種ではほとんど浸透圧調節能力がなく、外液の浸透圧受動的に変化し塩分濃度低くて高くて体液浸透圧変化して死んでしまう。また海水淡水混ざり合う河川感潮域汽水域)に生息する種では、ある程度の薄い塩分濃度に対して体液浸透圧を保つ働き見られ通常の海水塩分濃度(3%前後)の他に薄い塩分濃度範囲でも生存できる能力獲得している。モクズガニはさらにその上をいく体液浸透圧調節能力があり、かなり薄い塩分濃度に対して耐える能力があるだけでなく、高い塩分濃度に対してある程度浸透圧を保つ能力があることが知られている。このことは塩分濃度の低い淡水環境だけでなく、塩分濃度の高まる干潟潮間帯環境への適応能力備わっていることを意味する甲殻類開放血管系であり、血液組織液リンパ液)が分化しておらず、両者機能兼用する血リンパ全身循環している。そのため脊椎動物みられるような閉鎖血管系が、迅速に全身循環する血液恒常性を保ながら、その強い緩衝機能依存して全身組織細胞環境恒常性保っているのに比べると、血リンパ中の浸透圧一定に保つことは難しい。そこで甲殻類は、高浸透圧環境下では浸透圧調節物質オスモライト)を蓄積して細胞内浸透圧上昇させ、細胞容積を保つよう進化してきた。このようなメカニズムは「細胞内浸透調節」と呼ばれている。容易に生合成可能な非必須アミノ酸であるグリシンやアラニンは、多く無脊椎動物種で最も有効なオスモライトとされている。モクズガニ成体では、淡水域にいる間に細胞内無機イオンとD-およびL-アラニンのみを細胞内蓄積させて回遊備え河口達するとさらにこれを増加させ、海ではD-およびL-アラニン以外に無機イオン代えてグリシン大きく増加させ細胞浸透圧高めていることが明らかにされている。つまり成体淡水にいる間に既に海域に下る準備体内でできているということである。

※この「浸透圧調節能力」の解説は、「モクズガニ」の解説の一部です。
「浸透圧調節能力」を含む「モクズガニ」の記事については、「モクズガニ」の概要を参照ください。

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