浸透圧調節機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 15:01 UTC 版)
ヒトの血漿浸透圧濃度は289±4mOsm/kg・H2Oに保持され、この変動範囲は±10mOsm/kg・H2O以内である。ヒトを含む哺乳動物には体液の浸透圧を一定に保つ浸透圧調節機構(英:osmoregulatory system、独:osmotische Druckregulation)がある。浸透圧調節機構には、視床下部下垂体後葉系と視床下部飲水中枢(渇水中枢)系という2つの独立した系がある。下垂体後葉系は抗利尿ホルモン(ADH)を介するため、ADH系とも呼ばれる。視床下部視束上核、室傍核には浸透圧の変化を敏感に感受する浸透圧受容体を含む神経細胞群があり、その軸索は下垂体後葉に至り神経終末を形成する。ADHはこの神経細胞群で合成され、軸索流により神経終末へ達し、顆粒として貯えられる。分泌刺激には浸透圧変化のほか、アンギオテンシン系によるものがある。他方、視床下部にはADH系と別に飲水・喝水を統合する部位があり、細胞外液浸透圧上昇、循環血液量減少に刺激され、飲水の衝動や欲求が生じる。この飲水中枢(渇水中枢)は直接、アンギオテンシンII の刺激を受ける。体液浸透圧 body fluid osmotic pressure は、この脳下垂体後葉系(ADH系)および飲水中枢(渇水中枢)系の2系統協同の機構により一定に保持される。
※この「浸透圧調節機構」の解説は、「電解質代謝」の解説の一部です。
「浸透圧調節機構」を含む「電解質代謝」の記事については、「電解質代謝」の概要を参照ください。
- 浸透圧調節機構のページへのリンク