河川環境に配慮した治水対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 08:03 UTC 版)
治水対策の中でも特に構造物対策は、河川環境に与える影響が大きい。20世紀に進められてきた治水対策は河川構造物の建設を主体としており、河川形状の画一化、河床の平坦化・無生物的な護岸の盛行などによって、河川における生態系の喪失・劣化が生じた。1960年代後期の西ドイツ・スイスなどで、生態系の維持に配慮した河川づくりの運動が興り、1970年代には、実際に西ドイツ・スイス・オーストリアでいわゆる近自然的な河川づくりが実施され始めた。ヨーロッパの自然条件の下では近自然的河川づくりと治水対策とを整合的に実施することが可能であり、かつての氾濫原で後に農地や住宅地として開発された地域を再び氾濫原に戻す事業が多く行われた。 こうした河川思想はアメリカやアジア各国へも波及し、例えば日本では、近自然的河川づくりを日本的に咀嚼した多自然型川づくりが河川事業の中心に置かれるようになり、その他、中国では長江流域単位で河川の自然再生事業が行われたり、韓国では都市高速道路と河川の蓋を撤去して河川生態系の再生を図るソウルの清渓川事業などの取り組みが行われている。
※この「河川環境に配慮した治水対策」の解説は、「治水」の解説の一部です。
「河川環境に配慮した治水対策」を含む「治水」の記事については、「治水」の概要を参照ください。
- 河川環境に配慮した治水対策のページへのリンク