根の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 07:55 UTC 版)
命題 (中間値の定理の系) 奇数次の実係数多項式は少なくとも一つ実根を持つ 詳細は「分解体」および「根体」を参照 以下、K は可換体、P は K に係数を持つ一不定元多項式とする。体 K の拡大体とは K を部分体として含む体をいう(例えば ℝ および ℂ は ℚ の拡大である)。 さて L1 および L2 が P を分解する K の二つの拡大であるとき、L1 の元としての P の根と L2 の元としての P の根は「同じ」ものなのかという問いが自然に生じてくる。これには以下のような同値性が存在する: P の根をすべて含む L1 の部分拡大(P の(最小)分解体と呼ばれる)および L2 の同様の部分拡大が存在して、これら二つの K の部分拡大は一致する。例として、K = ℚ, P = X2 – 2 とすれば、P の分解体は a + b√2 (a, b は有理数) なる形の数全体の成す集合である。この集合は(一意でない体の同型により)実数体 ℝ および代数的数体 ℚ の一意な部分体として同一視できる。したがって、根の対 {√2, –√2} を ℝ に埋め込んだものは ℚ に埋め込んだものと同じものと考えることができる。 定理 (根の存在) P が L において分解する最小の K の拡大体 L は、同型を除いて一意に存在する。この拡大体 L を P に対する K 上の分解体と呼ぶ。 多項式 P を分解する体 L に対し、ほかの K-係数多項式が L において分解するとは限らないし、より強く L-係数多項式は L において分解するとは限らない。体 L が代数閉とは、任意の L-係数多項式が L において分解するときに言う。 定理 (代数閉包の存在) K の最小の代数閉拡大体 L は、同型を除き一意に存在する。この体 L を K の代数閉包と呼ぶ。 体 ℂ は代数閉である(これをダランベール–ガウスの定理という)。ℝ の代数閉包は ℂ であり、また ℚ の代数閉包は ℂ の部分体 ℚ である。
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