栄養生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 20:33 UTC 版)
多くのケカビ目は腐生菌である。家屋内の食品などに発生するものとしては、ケカビ・クモノスカビが普通である。空中雑菌として出現するものには、このほかにクスダマカビやハリサシカビモドキがある。ヒゲカビも時に食品工場などに出現してヒトを驚かせる。より多くのケカビ類は、自然界のさまざまな有機物塊、土壌・植物遺体・糞などに出現する。特に草食ほ乳類の糞は、多くの種を観察できる良い試料として知られる。そのようなものに広く出現するものは、特に決まった基質に出現する嗜好性は少ないものと見られる。 ケカビ類は一般に成長が早く、胞子形成を始めるのも速い。他方で、キノコ類などより高等な菌類に見られるような、セルロースなど分解困難な成分を分解する能力に乏しく、糖分など分解しやすい成分を主として利用するので、Sugar Fungiなどと呼ばれることもある。糞生菌や落葉状の菌相の遷移を見た場合、ケカビ類はそのごく初期、せいぜい1週間以内程度に出現すると、その後は出なくなる種が多い。おそらく、分解吸収のしやすい成分を素早く吸収して成長し、素早く胞子形成を終えると、以降は成育できにくくなるものと考えられている。 より基質の嗜好性の高いものとしては、草食ほ乳類の糞にもっぱら出現するミズタマカビやヒゲカビ、特定の植物の花や果実に出現するコウガイケカビ、限られたキノコに出るタケハリカビやフタマタケカビなどがある。最後の例は菌寄生菌である。他に、寄生性があるものにケカビに近い姿のパラシテラ ParasitellaやイトエダカビChaetocladiumなどがあり、これらはいずれもケカビ類を宿主としている。なお、トリモチカビ目やディマルガリス目のものにも菌寄生菌があり、それらは宿主の菌糸内に吸器を侵入させるが、本目の菌寄生菌はそのようなものを形成しない。ただし、接触部が膨大したゴール [要曖昧さ回避]を形成するものはある。 ほとんどのものが培地上での培養が可能で、一般的な菌類用培地でよく成育するものが多い。寄生性のものも、ケカビ目のものは大抵培地上で純粋培養が可能で、そこそこは成長するので、条件的寄生菌と言われる。普通はジャガイモデキストロース寒天培地(PDA)、麦芽エキス寒天培地(MA)などが使用される。人工培地としては合成ムコール寒天培地(SMA)というのが考案されている。ミズタマカビなど糞生菌では糞に含まれる特殊な成分を要求するものも知られている。
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