東北地方太平洋側の巨大地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 06:02 UTC 版)
「享徳地震」の記事における「東北地方太平洋側の巨大地震」の解説
三陸沖から茨城県沖に掛けて、東北地方の太平洋側は869年貞観地震、および2011年東北地方太平洋沖地震など、広大な震源域と強大な津波をもたらした巨大地震や、1896年明治三陸地震など津波地震が知られているが、1611年慶長三陸地震までの742年間に巨大地震の確かな記録が知られていなかった。 一方で産業技術総合研究所による調査で、石巻市で1320-1670年頃、仙台平野の山元町で1450-1650年頃の津波堆積物が見出されている。何れも炭素14-年代測定の精度では慶長三陸地震津波との区別は困難であるが、大槌町や陸前高田市では慶長津波以前の室町時代と推定される堆積物も見出されている。この室町時代と考えられる津波堆積物が1454年の地震・津波記録と符合するとの見方もある。 また、仙台平野の新田開発は伊達政宗入封以降、大々的に行われたのが通説とされているが、記録は無くとも貞観地震以降、津波襲来による荒廃地が700年余り放置されたとするのは不自然で、この期間に仙台平野に少なくとも3-4回程度の大津波の襲来があり、農地の開拓および津波襲来による荒廃が繰り返された可能性が高いと推定されている。疑問視されているものの、『岩手県沿岸大海嘯取調所』では正嘉元年8月23日(ユリウス暦1257年10月2日)の鎌倉の大地震と同日に三陸海岸に津波があったされる。 東北地方太平洋沖地震発生を期に全面的に見直され、2011年11月に示された地震調査研究推進本部による「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」では紀元前4-3世紀頃、4-5世紀頃、貞観津波、15世紀頃の津波堆積物、東北地方太平洋沖地震の発生間隔から「東北の太平洋沿岸に巨大津波を伴うことが推定される地震」としてこの種の巨大地震の平均再来間隔を約600年と評価した。
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