朝廷式微論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28 09:06 UTC 版)
「皇室式微論」ともいう。「式微」とは経済的に衰退した状態を指すが、戦国時代の朝廷が衰退していたという論調が江戸時代に強まる。 その説話の一つとして、『慶長軍記抄』には、「禁裏紫宸殿の築地が破壊のまま放置され、三条大橋のたもとから内侍所のろうそくの光りが見えた」といったものがある。また後奈良天皇が百人一首や『伊勢物語』など色紙に宸筆を染め、売り物に出したため、後奈良院のものが今も世に多く残っているとした伝説が生じ、『高野春秋』にも「後奈良帝の時代、大内困窮し」と記される。 こうした説話は二次大戦以前の官学アカデミズムの著作の中でも史実として引用されており、例として、渡辺世祐や黒板勝美がいる。しかし奥野高廣はこれらの式微論が後世の編纂物を無批判的に墨守した妄説であると主張し、皇室経済・諸大名や土豪による献金などの状況を詳細に論じ、式微論が近世期の誇張に過ぎないと結論づけた。
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