日本語における定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 04:31 UTC 版)
日本語においては、語種の上でいわゆる「漢語」という区分が存在する。その一方で、新たに「漢字語」という用語を使用する研究者も存在する。この語の定義には研究者によって僅かな差異があり、いまだ学会の共通認識にはいたっていない。 山田俊雄は、一般的な漢語の概念を拡張した「漢字語」という枠組みを提唱している。山田は、「木綿(もめん、きわた、ゆふ)」のように和語に対応して発生した漢熟語や、「天下(てんか、あめのした、あめがした)」のような漢語的な思想に基礎を持つ語などを漢字語の例として挙げ、従来の語種的分類では説明しづらい日本語の特質を取り上げている。 鈴木丹士郎は、「漢字語」を「概念をともなった語としての漢語と訓に対する表記としての漢字の両方を含んだもの」と定義し、例として「狂言(まがこと)」を挙げている。 さらに和語である「ものがたり」や外来語である「クラブ」などの語も文脈によって「物語」「倶楽部」といった漢字表記がなされることから、これら漢字で書き表した語を全て包括して「漢字語」あるいは「漢字表記語」と呼ぶ立場もある。これは語における表記文字に注目した「カタカナ語」などという呼称に対応する概念である。 また、類義語に「熟語」があるが、これは「複数の漢字によって構成される語」という意味がある一方で、「ことわざや慣用句として用いられる表現」という意味もしばしば同時に含蓄する。特に「四字熟語」といった場合、「臥薪嘗胆」「大器晩成」といったいわゆる(故事)成語を意味することが多い。しかし実際には「台風一過」「女人禁制」のように、成語には分類しがたい四字の表現も多く存在する。このように「熟語」の指す範囲は時に混乱を招くおそれがあるため、以上のような四字の表現を「四字漢字語」と総称することもあるという。
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