日本の精神科病院における事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 23:31 UTC 版)
「社会的入院」の記事における「日本の精神科病院における事例」の解説
「日本の精神保健」も参照 特に精神障害者の場合は深刻で、数年から十年以上、半世紀以上も精神科に入院している患者も珍しくはない。経済協力開発機構は「日本の精神保健政策は、他国に比べ『脱施設化(英語版)』が遅れており、精神科病床の多さなど悪い意味で突出している」と報告した。 根本的な原因として、 精神障害とされる者の両親や親族が、患者の病状の回復に関わらず、患者の退院を望んでいないケースがある。 入院中心主義で、障害者が地域で安心して生活出来る社会資源が、ヒト・モノ・カネともに圧倒的に不足している。 日本の精神科病院の9割は私立病院であり、病院経営上なかなか退院させられない。 現状が挙げられる。 そのため「退院を前提としない治療」を行っている病院もある。こうした状況を見て、日本医師会会長武見太郎は「精神医療は牧畜業だ」と発言した。 具体的な事例として、精神科医の齋藤正彦は、2012年(平成24年)7月1日に東京都立松沢病院院長に着任した際の挨拶で「今回30年ぶりに、同じ病棟(都立松沢病院の精神科病棟)に入って、旧知の患者さんから声をかけられて愕然としました。30年間、退院することなく、松沢病院で過ごしていた患者さんが何人もいたのです。私が、医師としてのキャリアを積み、家庭を作り、友人たちと過ごした30年、患者さんが松沢病院の病棟の片隅で、1人で送った30年」と驚き、30年間も病院に長期入院している精神障害者の患者が存在している事を憂いている。 このような場合特に、数年から数十年単位で行われる入院生活や、「薬物療法」の副作用、あるいは、数年から数十年単位という、極めて長い入院生活を終了し、いきなり社会生活を営む事への不安や、患者自身が長期間の精神科病院への物理的・精神的拘束による拘禁反応から、退院を諦めてしまう事例も多い。 中には、高齢者が孤独な独り暮らしに耐えかねて救急外来で自ら社会的入院を病院に頼み、病院側が折れて入院に至るケースもある。 経済協力開発機構(OECD)は、多くの国々(アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリア、フランス、イタリア、ノルウェー、スウェーデン)では脱施設化を達成したが、しかし日本や韓国のような国家では、未だ施設入院が主流であると報告している。
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