文芸、音楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 08:55 UTC 版)
アラビア語文芸では、アンダルス文化の創立期に生きたイブン・アブドラッビヒ(英語版)、ワッラーダとの間に多くの相聞歌を残した宮廷詩人イブン・ザイドゥーン、諸国を放浪した詩人イブン・クズマーン(英語版)、恋愛論の名著『鳩の頸飾り』を残した法学者イブン・ハズムなどが知られる。ヘブライ語文芸では、ヘブライ語詩にアラビア語詩の韻律を取り入れることを提唱したドゥーナシュ・ベン・ラブラート(英語版)、アラビア語を参考にしてヘブライ語の叙事詩を再興したシュムエル・イブン・ナグレーラ、『ハザールの書』でも知られるイェフダ・ハレヴィなどがいる。 アンダルスでは、古典アラビア語詩をもとにしたムワッシャハ(英語版)という詩形も生まれた。この名はアラビア語で「飾り輪」や「飾り帯」を指すウィシャーフに由来しており、それまで単一の韻律だった詩を連節に分解してリフレインで構成した。詩形を指すムワッシャハは、やがて音楽や舞踏をともなう表現を意味するようになり、その歌い手はキヤーンと呼ばれた。バグダードの音楽家マウスィリー(英語版)に破門された歌手のズィルヤーブ(英語版)は、アンダルスに東方の音楽を伝え、さらに独自の音楽文化を編み出した。ウードの弦を4弦から5弦に変え、のちのリュートの原型ともなっている。 アンダルスの時代にはロマンス語のアラビア文字表記も広まり、レコンキスタの終了後は、モリスコによるアルハミヤー文学が生まれた。セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』には、物語の原文はアラブの歴史家によって書かれたという設定があり、セルバンテスが原文を解読するためにモリスコをさがすという場面がある。
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