文化の権利
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 10:20 UTC 版)
ある文化実践の由来や実態について、文献資料を用いる文化人類学者と現地の実践者の間に齟齬が生じることがある。 近代史研究は、自明とみなされてきた文化が比較的近年に「発明」されたものだということを明らかにしてきた。しかし「オセアニアンは過去における先祖の生活についての神話などを、現地の人々は政治的シンボルとして発明している」という文化人類学者の見解は、現地の人々にとって「文化人類学者は祖先の文化をまったく知らず、自己規程の力さえ奪おうとしている」という傲慢な態度にほかならず、反発を受ける。 このような議論の極端な事例が捏造疑惑である。マーガレット・ミードはサモア人女性は性的に開放的であると議論したが、のちに調査した文化人類学者やサモア人から反論がされた。実際にミードが捏造をした、もしくは経験不足で嘘や冗談を見抜けず誤ったことを書いてしまったのか、サモアの文化そのものが変貌したのかについては議論が分かれている。 また文化人類学者の横暴に対して現地の人々が反発したものとして、例えば南米の狩猟採集民族のヤノマミ族は他人を罵倒する言葉として、「人類学者(アンスロ)」が定着しているということが挙げられる。
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