国内密漁の実態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:01 UTC 版)
日本においては、アワビやサザエなどの稚貝を放流し養殖を行っている海域で、スキューバーダイビングや小型ボートを用いて密漁が行われている。密漁の規模こそ小さいが、被害額は1件につき数百万円から数千万円にのぼることも珍しくない。背景には、密漁した海産物を組織的に売りさばく暴力団や、密漁された魚介類であっても平気で仕入れるブラック企業の存在があるといわれる。 また、密漁を行う実行犯は漁業者、つまりプロの漁師や漁協関係者が大半である。経済的に困窮した漁師が禁漁期間中に収入を得るため、密漁を行って暴力団に転売するケースが多い。日本で流通するアワビの45%、ナマコは北海道の漁獲量の50%、ウナギは3分の2ほどが密漁品が流通していると推測する者もいる。しかし、密漁に手を染める漁師がいる一方で、密漁の情報を海上保安庁や都道府県警察に提供している善良な漁師も多い。密漁事件の多くは善良な漁師からの情報提供によって、被疑者の検挙に結びついている。 2012年の漁業関係法令違反の送致件数は2,657件であり、このうち密漁事犯が2,591件、立入検査忌避などが66件であった。 2017年に摘発された密漁件数2,629件のうち、大半は個人が法令違反の意識が乏しいまま行っており、SNSで密漁場所の情報が拡散していることが、背景にある模様である。 こうした罪悪感が乏しい密漁者の場合は、捕獲のために河川や沿岸の危険区域への侵入を安易に行うことがあり、身体的な危険も伴う。また、外国人による河川や沿岸での不法な密漁も増加傾向にあり、海岸で貝を密漁していた外国人男性が海で溺れ、救助に向かった男性が溺死した、痛ましい事件も報道されている。
※この「国内密漁の実態」の解説は、「密漁」の解説の一部です。
「国内密漁の実態」を含む「密漁」の記事については、「密漁」の概要を参照ください。
- 国内密漁の実態のページへのリンク