参議院独自の案件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 14:18 UTC 版)
閣僚等問責決議案の可決 参議院で野党が過半数となれば、政府要職に不適格と判断される閣僚などへの問責決議案が可決しやすくなる。問責決議には法的拘束力はないが、問責対象閣僚が出席する国会審議において野党議員が出席を拒否(審議拒否)して、審議が停滞することがある。そのため、問責理由が世論の支持を受け野党が強硬姿勢を崩さない場合には、閣僚が辞任する事態に発展する可能性もある。 首相問責決議案の可決 参議院で首相問責決議案が可決されれば、閣僚等問責決議と同じく首相が出席する国会審議において野党議員が出席を拒否する事態が想定される。一方で、参議院による問責決議には内閣総辞職をさせる法的拘束力がないことから、与党側には内閣信任決議(憲法第69条)を衆議院で可決し、首相問責決議の効果を打ち消そうとした事例がある(福田康夫内閣総理大臣に対する問責決議)。 国政調査権発動と証人喚問 参議院で野党が主要委員会の委員長ポストを獲得すれば、政府・与党の腐敗や疑獄事件などについて、野党が主導をして参議院で国政調査権や証人喚問の行使を議決することができる。証人喚問で証言拒否や偽証した場合は、国会の議決で刑事罰が規定されている議院証言法違反として告発することができる。但し参議院では1955年以降、証人喚問決議は全会一致で行うことが慣例となっている(法律に基づかない慣例なので、野党が慣例を破る可能性はある)。また、議院証言法に基づく告発には法改正により1988年以降は出席委員の3分の2以上の賛成を要することが規定されており、与党が3分の1以上の委員数を押さえていれば証人喚問の実効性を減殺することができる。さらに在任中の国務大臣は、首相の許可がない限り訴追を受けることはない(憲法第75条)。しかし、野党の証人喚問決議や議院証言法違反告発の正当性を世論が認める場合には、政府・与党も軟化せざるを得ないと予想される。 議員辞職勧告決議の可決 政権に大きな影響力があると目される与党大物参議院議員への辞職勧告決議が可決しやすくなる。但し数の論理をもって多数派が議員の役職を奪うような決議を行うには、汚職の嫌疑など、相応の大義名分が必要とされる。辞職勧告決議には法的拘束力はないが、政府・与党に大きな打撃を与えることができる。
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