利用状況と見通し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 15:25 UTC 版)
「再生可能エネルギー」の記事における「利用状況と見通し」の解説
再生可能エネルギーはエネルギーの自給率を高めるほか、IPCC第4次評価報告書、スターン報告などでも地球温暖化への対策の一環として挙げられ、その効果は数ある緩和手段の中でも最も大きい部類に入るとされている。また近年は関連産業そのものが急速に拡大しており、環境対策と同時に景気の刺激を狙った政策を打ち出す国も見られる。このため今後の市場拡大やコスト低減を見越して、世界各地で導入の動きが活発である。 再生可能エネルギーは2008年時点で全世界の最終エネルギー消費量の約19%を占めていた(右図)。発電分野では18%を再生可能エネルギーが占め、その多くが水力で、それ以外の風力・太陽光・地熱などは全部合わせて約3%であった。近年は風力発電など、大規模水力発電以外の("non-Hydro"な)再生可能エネルギーの利用が伸びている。世界で新設される発電所に占める割合も近年急速に増えており、2006年には発電量ベースで6%であったものが、2010年には同30%(設備容量ベースでは34%)に達している(大規模水力を除いた値)。特に風力発電は急速に伸び、2010年には世界の電力需要量の2.3%、2020年には4.5 - 11.5%に達すると言われる。 2010年の再生可能エネルギーへの投資額は前年から32%増加し、世界で2110億ドルに達したと推定している。特に途上国における新規投資額(720億ドル)が伸びており、2010年は初めて先進国での新規投資額(700億ドル)を上回った。また2010年は新規設備への投資額で初めて化石燃料を抜き、1870億ドルに達したと推定している。 国際エネルギー機関 (IEA) が2008年6月に発表した報告書では、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇に対して何も手を打たなかった場合 (Baseline) は石炭と天然ガスの利用量が増え、温暖化ガスの排出量が倍以上に増加し、再生可能エネルギーの導入量も殆ど伸びない可能性を指摘している。一方、世界が積極的に対策を進めた場合 (BLUE Map) は、2050年までにエネルギー部門からの温暖化ガスの排出量を半減すると同時に、再生可能エネルギーが発電量の46%を占める見通しを提示している。 欧州では2008年12月、2020年までに一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を20%にする包括的な温暖化対策法案を可決した。中でもドイツは2010年の目標を3年前倒しで達成するなど以前の予測を上回る勢いで導入を進めており、関連産業への投資額は年間100億ユーロを超える規模に成長している。2050年までに電力の50%を再生可能エネルギーで供給するという以前の目標は、2030年頃に達成される見通しである。また一次エネルギー供給においても、2050年には再生可能エネルギーが50%以上を占める見込みである。 米国においては、2008年5月に米国エネルギー省が2030年までに総需要の20%を風力発電で供給可能との見通しを示し、新規導入量が2007年時点で他のすべての方式の発電所を凌駕するなど、風力発電の導入が急速に進んでいる。また続けて2008年6月には太陽光発電と太陽熱発電で2025年までに電力の10%を賄える可能性が示されている。2010年は太陽光発電の年間導入量が1GWを超え、2012年には2GWに達する見込みである。中国等との競争に曝されてはいるものの、産業全体での貿易収支は黒字である。
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