共時的な内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 01:10 UTC 版)
ある時間点を指定するとき、個別言語は、空間的な広がりでヴァリエーションを持つ構造の集合となる。通常、地理的な広がりにおいて、個別言語は方言のヴァリエーションに分かれる。方言は構造と語彙における個別言語の部分集合とも考えられ、逆に、方言の集合が、個別言語を定義する。他方、方言を含む広義の変種は、定義された個別言語からの、主として語彙における逸脱を意味し、語彙における逸脱に、文法構造における逸脱が加わって、別の個別言語へと派生乃至混成されて行くのだと言える。 理論的には、特定の個別言語と、それとは別の個別言語のあいだで、連続的な語彙や構造の移行が存在すると考えられる。しかし、現実的に存在し得る個別言語の変種は、変種の視点に立てば、これ自身が個別言語であり、言語が共同体集団のコミュニケーションの媒体であるという要請上にある以上、構造と語彙セットの輪郭は明確なものでなければならない。 (ピジンは語彙セットと構造の双方において安定しておらず、ピジン使用個人ごとの揺れが大きい。従って、ピジンは通常、輪郭が明確でない。しかしピジンはまた安定化することがあり、安定ピジンを母語とする世代が生まれると、それはクレオールになることが知られている。クレオールは混成言語[混合言語]のもっとも原始的な形態と考えられ、最小限の個別言語の資格を有する)。 二つの個別言語が、それぞれの構造を維持したまま混成されて共時的に存在する状態は想像できるが、混成が意識されている限りでは、このような混成状態は、個別言語ではない。個人または社会集団におけるバイリンガルまたはマルチリンガル状態は、マルチリンガル状態が意識されている限りでは、単一の混成個別言語が成立しているのではないのである。 共時的に研究されるのは: 地理的に分布する方言のあいだの語彙と構造の比較研究 変種の分析を通じて考察される、他の個別言語とのあいだの相互作用と混成作用
※この「共時的な内容」の解説は、「個別言語学」の解説の一部です。
「共時的な内容」を含む「個別言語学」の記事については、「個別言語学」の概要を参照ください。
- 共時的な内容のページへのリンク