元の長さとブリュア順序
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 21:26 UTC 版)
「コクセター群」の記事における「元の長さとブリュア順序」の解説
対合からなる生成系を一つ選べば、コクセター群上に長さ函数 l を考えることができるようになる。つまり、群の元を生成元をアルファベットとする語として表示するために必要な生成元の数の最小値(ケイリーグラフにおける語の距離にちょうど一致する)を、その元の長さとするのである。各元 v の表示のうち、l(v) 個の生成元の積となっているものを v の簡約表示(最短表示)という。例えば、S3 における互換 (1 3) は二つの簡約表示 (1 2)(2 3)(1 2) および (2 3)(1 2)(2 3) を持つ。また、写像 G → { ± 1 } ; v ↦ ( − 1 ) l ( v ) {\displaystyle G\to \{\pm 1\};\;v\mapsto (-1)^{l(v)}} は、対称群上の符号函数を生成する。また有限コクセター群には最長の長さを持つ元が唯ひとつ存在する。これを最長元という。 簡約表示を使えば、コクセター群上に(左/右)弱順序、絶対順序、ブリュア順序(英語版)(フランソワ・ブリュア(英語版)に因む)という三種類の半順序を定義することができる。元 v がブリュア順序に関して元 u 以上であるというのを、v のある簡約表示が u のある簡約表示を部分文字列として含むときにいう(v のある簡約表示というのを v の任意の簡約表示としても同値である)。ただしこの場合は、使わない文字が(どの位置にでも)あってよい。右(左)弱順序の場合は、v ≥ u という関係を v の簡約表示が u の簡約表示を最初(最後)の部分に含むことと定める。語の長さを考えることによって、コクセター群は次数付き半順序集合(英語版)となる。これらの順序に対応するハッセ図も研究の対象となり、また生成元から決定されるケイリーグラフとも関係する。絶対順序は弱順序と同様に定義されるが、そのアルファベットはコクセター群の生成系の任意の共役の全体からなる。[訳語疑問点] 例えば S3 の置換 (1 2 3) は、ただ一つの簡約表示 (1 2)(2 3) を持つから、ブリュア順序では (1 2) と (2 3) の上にあるけれども、弱順序に関しては (1 2) の上にあるだけということになる。
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