代謝の亢進
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 20:05 UTC 版)
ヒトの場合、体温1℃の上昇につき、消費熱量は13%も増加するという。それだけに、慢性の感染症や悪性腫瘍などによる長期の発熱が、体重の大幅な減少をもたらすこともある。前者に関して、かつては肺結核などの感染症が、るいそう患者を象徴するほどに猛威をふるっていたが、抗生物質など治療法の進展により、るいそうを来すほどの感染症は少なくなった。しかし、エイズの流行地域では、発熱を原因とする体重減少が増加しているという。後者に関して悪性腫瘍は、サイトカインの関与により、全身性に代謝を亢進させる。また、これらサイトカインは、視床下部に作用して食欲を抑制することも知られている。このような悪性腫瘍による種々の消耗は、「悪液質」(cachexia)もしくは「カヘキシー」(独: Kachexie)と総称される。この他、膠原病も発熱などの慢性的な炎症を生じさせる代表的な疾患である。特にある種の膠原病の中には嚥下障害の症状を伴うものもあり、体重減少の原因の一つに数えられる。 内分泌的に消費熱量を増加させる疾患である、甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫などは、基礎代謝を亢進させる作用だけでなく、脂肪の異化も亢進させる作用をももつ。このような作用を利用して、過去に甲状腺製剤(英語版)を「やせ薬」と称して販売していた事例もある。
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