世界決済戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 08:30 UTC 版)
VTB は2012年も海外進出に積極的であった。ブラックストーン系の投資銀行エヴァコア(Evercore Partners)と組んで、マイケル・ミルケンのドレクセルがやったような「ビッグビジネス」をロシア・北米間で取引しようとした。ブラジルのBTG(BTG Pactual)とも同様の提携関係に合意した。バンカメ出身の副社長のリカード(Riccardo Orcel)が一連のビジネス外交を指揮した。VTBを極東の大都市へ売り込むために、メリルリンチやゴールドマン・サックスやスイスのUBSなどからオールスターを結成した。 しかし、香港・シンガポール・上海・北京での営業圏強化は欧米との経済摩擦を引き起こした。 2013年、VTBが新株を発行した。結果として議決権株の連邦保有分は60.93%に減ったが、普通株もふくめると85.27%を維持した。VTBは高所得者向けのサービスに傾注した。また、レト銀行(Leto Bank)を買収してから個人客にもサービスを拡充してゆく中期計画が立てられた。しかし、これが翌年仇となってしまうのである。 VTBは2014年ウクライナ騒乱の後、アメリカ人への新規融資を禁じた。アメリカ合衆国財務省は7月に報復として制裁措置に出た。英米はロシアを国際銀行間通信協会から追い出そうとし、ロシア側はスウィフトネットの代替システムを作ると公言、啖呵を切った。しかし協会が脱退措置に難色を示すなどして、現在この件は沙汰やみとなっている。 VTB24は制裁措置が痛手となったことを認め、2015年に55以上の事務所をたたむと発表した。リテール部門も国が住宅ローンを保証しなければモーゲージ債発行額を60%減らすと述べた。VTB本体は、政府から2140億ルーブル(34億ドル)を借り受けてバランスシートを支える一方、国家福祉基金(Russian National Wealth Fund)からも1000億ルーブル(16億ドル)を借りて金融投資業務に振り向けた。これら社債のうち大部分の3070億ルーブル(46億ドル)が優先株に交換された。 2016年、VTBのデータセンター(MultiCarta Ltd.)がApple PayとSamsung Payのサービス開始。同年5月、VTBがモスクワ銀行を完全吸収。9月19日、VTBとVTBキャピタルが反競争的な架空ブロック取引を行ったとして、アメリカのCFTC(Commodity Futures Trading Commission)が民事賠償として連帯債務500万ドルを課した。12月にVTBが三井住友銀行と業務提携を調整していることが明らかとなった。2017年1月に中央銀行がブロックチェーン導入へ向けて具体的に動き出し、同行のフィンテック協会にアルファ銀行やVTBが在籍した。3月VTBはインドから撤退。10月VTBキャピタルがヴィラコッポス国際空港の買収を計画していることが分かった。
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