リーク‐でんりゅう〔‐デンリウ〕【リーク電流】
リーク電流
【英】leak current
リーク電流とは、半導体回路において、本来電流の流れるはずがない場所で、電流が水漏れするように漏洩(リーク)する現象のことである。
リーク電流が発生し、これが増大すると、消費電力が無駄に増すだけでなく発熱量も増して回路が傷みやすくなる。リーク電流の発生の原因としては、主に量子トンネル効果と呼ばれる現象が考えられている。これは、ごく薄い絶縁層の間では電子の通り抜けが確率的に発生しうるという現象のことである。
半導体の集積度向上による技術進展がある程度の高みに達した現在においては、リーク電流を減少させる技術が、半導体技術の進展のために不可避の要素であると見られ、研究が進められている。
リーク電流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 15:20 UTC 版)
リーク電流(リークでんりゅう、英: current leakage)とは、電子回路上で、絶縁されていて本来流れないはずの場所・経路で漏れ出す電流のことである。
注釈
- ^ 例えば、デジタル半導体用のプロセスルールが65nmのゲート絶縁膜の厚みは2.0nm程度であって、シリコン原子の結晶配列の間隔が約0.2nmであることから、原子10個分程度の厚みであることがわかる。
- ^ 90nm世代以降の半導体回路で消費される電力の残る半分弱は、トランジスタのスイッチング時に消費される電力であり、トランジスタ内に電荷を充放電するために消費されるスイッチング電力 (Switching power) と、CMOS回路特有であるがON/OFF動作の過渡期にNMOSトランジスタとPMOSトランジスタがわずかに同時にONとなりVcc電源からグランドまで電流が流れる貫通電流電力 (Internal power) の合計であり、これらは一般にクロック周波数に比例して増大する。
- ^ 高速動作が求められる半導体回路はダイサイズの縮小によるコスト削減だけが目的ではなく、配線と回路素子自身の寄生容量を小さくするためにも微細化が進められたが、標準的なアルミによる金属配線が細くなりすぎると良導体であっても抵抗分が増して回路や配線へ電子を充電/放電するのに掛かる遅れ「RC遅延」が無視できないほど大きくなった。R成分を減らすために標準的なアルミより低抵抗の銅を配線材料としたり、C成分を減らすために標準的な酸化膜シリコン (SiO2) に代えてフッ化SiO2のような比誘電率の小さな (Low-k) 絶縁膜を用いたりして対応するが、配線層用の絶縁膜に"Low-k"材料を用いて、ゲート・リーク電流低減のためのゲート用絶縁膜に"High-k"材料をそれぞれ用いるのは工程の複雑化を招くことになる。
出典
- ^ 佐野昌著、『岐路に立つ半導体産業』、日刊工業新聞社、2009年10月15日初版第2刷、ISBN 9784526061998
- ^ 鈴木五郎著、『システムLSI設計入門』、コロナ社、2003年3月20日初版第1刷発行、ISBN 4339007536
- 1 リーク電流とは
- 2 リーク電流の概要
- 3 関連項目
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