ユーカラとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 文芸 > 叙事詩 > ユーカラの意味・解説 

ユーカラ

アイヌ語で、詞曲の意》アイヌ口承されてきた叙事詩。棒で拍子をとり、節をつけて語る。狭義には、少年ポイヤウンペ武勲遍歴物語長編英雄叙事詩をいう。広義には自然神人文神が来歴などを語る形式のカムイユーカラを含む。


ユーカラ 【Yukar アイヌ】

アイヌ口承されてきた叙事詩。ユーカラとは〈物真似する〉意。狭義には、少年ポイヤウンペ両親仇討ち許嫁奪還をするため敵と激戦を交わす数々物語広義には人文神・自然神語った来歴など前者英雄のユーカラ、後者神々のユーカラ。本州からの探検家には蝦夷浄瑠璃の名で知られた。

ユーカラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/31 00:49 UTC 版)

ユーカラ (yukar) は、アイヌ民族に伝わる叙事詩の総称である。アイヌ語で「叙事詩」を意味する。少年の英雄が主人公となる内容が多いため「英雄叙事詩」と訳されることがある。

カナ表記は統一されていないが、カタカナを用いる場合、萱野茂は「ユカㇻ」とした方がより忠実としている。[要出典]ラテン文字表記はyukarであり、yukaraではない。「ユカラ」ではなく「ユーカラ」と表記されるのはアイヌ語学者金田一京助による。第1音節にアクセントがあることから、母音が長く発音されることがあるため、金田一は日本語の表記として「ユーカラ」という長音表記を選んだ[1]

特徴

短いものから何日もかけて語られる長いものまである。アイヌは文字を持たないため、口承で伝えられてきた。

アイヌ民族で、アイヌ文化研究者の萱野茂によると、「ユカㇻ」という言葉について「『イタッエユカㇻ=喋り方を真似る』、『アッカㇱエユカㇻ=歩き方を真似る』、『イペエユカㇻ=食べ方を真似る』、などと珍しい言葉ではなく極普通につかわれている。私が語ったユカㇻも私が作者ではなく、ずーっと昔のアイヌが語りそれを誰かが真似て、口から口へと受け継がれ、私もそれをまねをさせてもらった。」とされている。

金田一京助の分類によると、ユーカラは、「人間のユーカラ」(英雄叙事詩)と「カムイユーカラ」(神謡)の2種類に分けられる[1]。人間(アイヌ)を中心として語られるユーカラは、主にポンヤウンペと呼ばれる少年が活躍する冒険譚である。

「カムイユーカラ」はカムイが一人称で語る形式をとっており、サケヘと呼ばれる繰り返し語が特徴で、アイヌの世界観を反映した、神々の世界の物語である。中には、神・自然と人間の関係についての教えが含まれている。

散文の物語はアイヌ語ではウエペケレという。

アイヌの人々が、文字を持たないアイヌ語によって、自然の神々の神話や英雄の伝説を、口伝えの言葉による豊かな表現で、語り伝えてきた。近年、アイヌ語・アイヌ文化の衰退とともに、ユーカラをはじめとする口承文学の語り手も次第に少なくなっていったが、アイヌ語・アイヌ文化の復興運動の中で、口承文芸を練習・習得した、新しい語り手も育ってきている。

ユーカラは、日高西部・胆振・石狩などでの名称で、十勝や釧路ではサコㇿペ (sakorpe) 、日高東部(浦河・様似)では、ヤイラㇷ゚ (yayrap) と呼び、主人公の名前もオタストゥンクㇽ(オタスッの人)などとなる。

樺太アイヌ語ではユーカラ (yuukara) は 単に歌を指す言葉で、叙事詩はハウキ (hawki) と呼ぶ。

脚注

  1. ^ a b 金田一京助 1932, p. 11.

参考文献

関連項目

外部リンク




ユーカラと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ユーカラ」の関連用語

ユーカラのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ユーカラのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
中経出版中経出版
Copyright (C) 2024 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのユーカラ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS