ボーフォール・エテ
昔からサヴォワ地方は牧草が豊かに生い茂り、牛乳の収穫量が多い地域でした。厳しい冬を乗り切るため、この牛乳を使って長持ちするチーズを作ったのが始まり。今でも大部分の工程を手作業で行う、伝統的な製法が守られています。
その味わいは「ほっくりとした栗のような味わい」と表現され、ミルクのコクがたっぷりで、かすかに甘みがあります。フルーツを思わせる香りとなめらかな舌ざわりは「チーズのプリンス」と言われるゆえんです。中でもこの「ボーフォール・エテ」と呼ばれるものは特に珍重されます。エテとは「夏」という意味。「夏のボーフォール」を特に区別してそう呼びます。
サヴォワの山岳地帯は一年の半分が雪に閉ざされるといわれ、冬の間、牛たちは牛舎の中で干草を食べています。やっと雪の解ける6月~10月の短い夏の間に、牛たちは広々としたアルプスの高地で放牧され、太陽のもと青々とした牧草や花を食べて過ごします。そんな夏のミルクは栄養価が高く、美味しさが違います。このミルクで作るボーフォール・エテは、同じボーフォールでも味も色も濃く、格段に美味しいのです。チーズは冬の間に作られたものより黄色みを帯びて、上品なコクが感じられます。ナッツ香や芳醇な風味も素晴らしく、「エテ」の濃厚さと気品のある味わいは、ボーフォールの中でも特別といえます。
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