ホウ酸水
別名:ホウ酸水溶液
英語:Boric acid solution
ホウ酸(BH3O3)の水溶液。弱酸性。毒性を持つため、害虫駆除のために用いられる。また、中性子を吸収する効果を利用し、原子炉で核分裂反応を制御するためにも用いられる。
2011年3月に東京電力福島第一原子力発電所で発生した原発事故では、事故発生直後に燃料棒が露出するという事態に至り、急遽、原子炉1号機に海水を用いたホウ酸水が投入された。海水は真水の代替で燃料棒を冷却するため、ホウ酸は、中性子を吸収して燃料棒の核分裂反応を抑制し、再臨界が生じるのを阻止するためのものである。
2011年6月には、原子炉3号機の使用済み核燃料プールに対してホウ酸水の注入が行われた。これは、使用済み核燃料プール内に建屋のがれきが落下したことで冷却水がアルカリ性になり、使用済み核燃料を乗せているアルミニウムのラックが腐食するおそれがあるため、酸性を示すホウ酸水を注入して中和しようという措置である。
ホウ酸
(ホウ酸水 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/06 07:02 UTC 版)
ホウ酸(ホウさん、硼酸、Boric acid)もしくはオルトホウ酸は化学式H3BO3またはB(OH)3で表わされるホウ素のオキソ酸である。温泉などに多く含まれ、殺菌剤、殺虫剤、医薬品(眼科領域)、難燃剤、原子力発電におけるウランの核分裂反応の制御、そして他の化合物の合成に使われる。常温常圧では無色の結晶または白色粉末で、水溶液では弱い酸性を示す。ホウ酸の鉱物は硼酸石(サッソライト)と呼ばれる。メタホウ酸や四ホウ酸などホウ素のオキソ酸を総称してホウ酸と呼ばれることもある[1]。
注釈
出典
- ^ a b 丸内 (2005) p.103。
- ^ Eti Mine Works.
- ^ 丸内 (2005) p.104。
- ^ a b Wagman et al. (1982).
- ^ a b c d コットン、ウィルキンソン (1987)。
- ^ 千谷 (1959) p.369。
- ^ 田中 (1981).
- ^ “safety data ホウ酸”. 日本医薬品添加剤協会. 2014年10月21日閲覧。
- ^ Nielsen, Forrest H. (1997). Plant and Soil 193 (2): 199. doi:10.1023/A:1004276311956.
- ^ Klotz, J. H.; Moss, JI; Zhao, R; Davis Jr, LR; Patterson, RS (1994). “Oral toxicity of boric acid and other boron compounds to immature cat fleas (Siphonaptera: Pulicidae)”. J. Econ. Entomol. 87 (6): 1534–1536. PMID 7836612.
- ^ 露本 第 3 回特許ビジネス市。
- ^ 山本 (2009).
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