ヘモグロビンの酸素親和性の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 14:48 UTC 版)
「赤血球」の記事における「ヘモグロビンの酸素親和性の調節」の解説
ヘモグロビンの酸素親和性の調節では前述のように血液循環で肺と組織を巡る間で H+ の作用(pH の変化)によるボーア効果によって酸素の親和性が変化し赤血球は二酸化炭素の少ない肺では酸素を取り込みやすく、二酸化炭素が発生している組織内では酸素を放出しやすくなる。だが、ヘモグロビンの酸素親和性の調節には pH の変化だけでなく 2,3-BPG(2,3-ビスホスホグリセリン酸あるいは 2,3-DPG 2,3-ジホスホグリセリン酸とも表記する)も関わる。 精製したヘモグロビンは赤血球中のヘモグロビンよりも酸素親和性が高い。赤血球には 2,3-BPG が含まれるが 2,3-BPG はヘモグロビンの酸素親和性を弱める。人が空気の薄い高山に行くと酸素不足状態に陥るが、1日ほどで相当に適応することができる。高地に行き低酸素状態になると数時間ほどで血液中の 2,3-BPG濃度が上昇し酸素親和性が低下する。酸素親和性の低下は肺でよりも組織内での効果が大きく、そのため組織内での酸素放出量を増やすことができる。人では高地適応の例だけではなく、貧血や心不全・呼吸不全などによる低酸素血症でも、2,3-BPG濃度を上昇させて血液の低酸素状態に対してある程度の対応を行うことができる。 胎児の赤血球に含まれるヘモグロビンFは成人のヘモグロビン(ヘモグロビンA)よりも 2,3-BPG に対する結合が弱く、そのため酸素親和性が高い。これは胎盤内で母親側から酸素を受け取らなければならないために、胎児のヘモグロビンは母親のヘモグロビンよりも高い酸素親和性が必要なためである。
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