フォトモンタージュの権利問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 10:19 UTC 版)
「フォトモンタージュ」の記事における「フォトモンタージュの権利問題」の解説
フォトモンタージュにおいては、材料となる写真に存在する権利が問題になることがある。 米国においては、米国憲法修正第1条(いわゆる「言論の自由」条項)により、製作者の意志が肖像権よりも優先されるとし、2002年4月17日に連邦最高裁によって、「コラージュを禁止することはパロディを認めないことであり、思想・言論の自由を侵すものである」「著作権法の引用に適合する」との判断が下された。 このため現在アメリカでは、有名人のみならず政治家などのコラージュが作られている。特に反戦を訴えるアメリカの人々により、アフガン戦争やイラク戦争の際に作成された、ブッシュ大統領とオサマ・ビンラディンやサッダーム・フセインとの卑猥シーンなどをコラージュで造った反戦目的のものが有名である。 日本では、昭和天皇コラージュ訴訟事件の1審判決(1998年12月16日、富山地裁)で示されたように、表現の自由による肖像権侵害を無条件に認める考えは少なく、一定の要件を求めることが多い(上述判例では(1)本人の同意(2)公的存在の法理の2つを例として挙げている他、作成された作品の材料となった人物について名誉毀損など不利益がないかを検討している)。そのため、アメリカに比べて、表現の自由より肖像権を優先する傾向があるのではという指摘がある。 また、作品の著作権侵害問題ではマッド・アマノと写真家 白川義員の間で裁判で争われた「パロディ・モンタージュ写真事件」(1980年 (昭和55年) 3月28日 最高裁判決、民集34巻3号244頁)などがある。 近年では、フリー写真素材サイト「ぱくたそ」上で写真作家のカズキヒロが権利関係に問題の生じないオリジナルかつアート性の高いフォトモンタージュ作品を大量にリリースしており、そのフォトモンタージュ作品のみでビジュアルが構成された書籍が講談社から出版されるなど社会的な反響を呼んでいる。
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