チャレンジクレーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 23:15 UTC 版)
「特許請求の範囲」の記事における「チャレンジクレーム」の解説
チャレンジクレームは、実務家の間に通用する俗語で、「だめもと」のチャレンジ精神で審査を受ける、限定の少ない広いクレームを意味する。 日本の特許制度では、審査官による拒絶査定が出る前には必ず「拒絶理由通知書」が出され、特許請求の範囲等を補正する機会が与えられるが、特許査定が出る前には特段の通知がないところ(これに対して、欧州特許庁は、特許査定を出す前にCommunication about intention to grant a European patentという通知をする運用を行っている。)、特許査定後は特許請求の範囲等を補正することができない(しかも、かつては特許査定後の分割出願もできなかった。)。したがって、ある日突然特許査定を受けて、もっと限定の少ない、広いクレームで特許を受けることができたことに気づくが、クレームを拡張するすべがなく、後悔するということも少なくない。 そこで、請求項1には「これで特許になったら儲けもの、だめでもともと」というつもりで限定の少ないクレームを記載し、審査官の「拒絶理由通知書」の内容を検討しつつ、特許を受けることができる最小限の限定を追加したクレームに補正するという慣行も、一部で行われている。この際、どの程度に構成を追加すれば特許を受けることができるかを探るために、請求項2は請求項1に少しだけ限定を加えたもの、請求項3は請求項2をさらに肉づけしたもの、などのように広いものから狭いものまで複数の請求項を記載しておき、審査官が「拒絶理由通知書」の中で「請求項3以下については拒絶の理由がない」などと示したり、一部の請求項について説得力に欠ける拒絶理由を記載したりしたことなどをふまえて、特許請求の範囲の補正を検討するのが一般的である。
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