チャターマーク
ロータリーエンジンのアペックスシールが、トロコイド面に接して揺動しながら滑る際に、アペックスシールが摩擦振動現象を起こすために生じる、トロコイド面上の波形摩耗。この波形摩耗は、トロコイド面の潤滑状態やシールの固有振動数、摩擦係数などに関係する現象で、ロータリーエンジンの初期開発段階でのもっとも大きな問題のひとつであった。しかし、トロコイド面表面の硬質クロム系めっき処理と、特殊カーボンやチル硬化処理を施した、特殊鋳鉄製アペックスシールとの組み合わせにより解消された。
参照 チャタリングチャターマーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 00:59 UTC 版)
「ロータリーエンジン」の記事における「チャターマーク」の解説
ローターハウジング内壁が異常磨耗する問題はアペックスシールの共振が原因であることが判った。一方アペックスシールとローターハウジングは、レシプロエンジンのピストンスピードよりも速い速度で接触するので強度や耐摩耗性も求められた。牛骨までがテストされたが好ましいアペックスシールの開発は困難を極めた。アペックスシールにクロス状に穴を開けて中空構造にした(クロス・ホロー加工)ところ、共振が分散されてチャターマークが発生しないことが判明したが市販化には適さなかった。カーボングラファイト(黒鉛)では強度が足りなかった。松田恒次社長(当時)は日本カーボンのパイロリテックグラファイト(PG)が通常黒鉛の10倍の引張り強さがある事を知り、日本カーボンに提供を申し込んだがパイロリテックグラファイトにはへき開性があったために適さなかった。最終的に日本カーボンと共同開発でアルミニウム合金のカーボン複合素材を新開発して使用することになった。ローターハウジング内面には硬質クロームメッキを施して耐磨耗性を向上させた。
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