ダライ・ラマ
チベット仏教(黄教)の教主にしてチベットにおける最高位の指導者と位置づけられる僧の位。2014年現在、単にダライ・ラマといえば当代のダライ・ラマ14世を指す。
ダライ・ラマは菩薩の化身(化仏)であり、転生するとされている。ダライ・ラマが亡くなると、同時期に生まれた子が探され、その中から「これは」と思われる子を次代のダライ・ラマとして戴く、という体制をとっている。ダライ・ラマ14世は4歳のときにダライ・ラマとして見出された。
ダライ・ラマの称号は16世紀に用いられはじめた。黄教はチベット仏教の最大の宗派となり、17世紀から20世紀にかけてはダライ・ラマが宗教上の指導者(法王)および政治上の指導者(国家元首)として君臨した経緯がある。20世紀に中国がチベットを侵攻・支配し、ダライ・ラマ(14世)は亡命政府の指導者となった。以降、ダライ・ラマ(14世)は、各国に亡命離散したチベット民族の精神的指導者として人々に戴かれている。
ダライ‐ラマ【Dalai Lama】
ダライラマ
ダライ・ラマ
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ダライ・ラマ(Dalai Lama, ཏཱ་ལའི་བླ་མ་, taa-la’i bla-ma, 達頼喇嘛)は、チベット仏教ゲルク派の高位のラマであり、チベット仏教で最上位クラスに位置する化身ラマの名跡。チベットとチベット人民の象徴たる地位にある。
注釈
- ^ 現在、中国語圏では、リンポチェと呼ばれる化身ラマが法王号をもって尊称されることがある。例えば、20世紀亡命ニンマ派の長を務めたドゥンジョム・リンポチェは中国語圏では敦珠法王と呼ばれる。なお、法王と訳されるチベット語のチューキギェルポないしチューギェルは、仏法を保護した世俗の君主などに対して使われる(吐蕃のソンツェン・ガンポとティソン・デツェンとレルパチェンの祖父孫三王、シッキム王国の藩王、デルゲ法王など)。アルタン・ハーンもダライ・ラマ3世よりチューキギェルポ・レーツァンパ(法王梵天)の称号を贈られた(転輪聖王も参照)。
- ^ 標準チベット語(ラサ方言)ではターレーラーマと発音。
- ^ ギャムツォ、ギャンツォとも表記される。
- ^ ラサンはグーシ・ハーンの嫡曾孫で、1703年から1717年までチベット・ハンに在位。
- ^ 木村肥佐生は、その著書『チベット潜行10年1958年版』で毒殺と推定。同書の『1982年版』では婉曲な表現で有力貴族間の権力争いの犠牲になった可能性が強いと記している。
- ^ 波多野養作『新疆視察復命書』(1907年)に拠れば、ダライは十七、八歳を迎えると南方の霊地へ赴いて業を修めるが、これを「朝南」と称する。この時をもって初めて人民に接するダライは思想上において大いに啓発されるところあり、業を了し宮殿に帰るとそれまで自己の無為に乗じて下僧たちからなされた欺瞞暴悪を悟り、往々大改革を計るに至る。これを自己に不都合とする下僧たちが共謀してダライを殺害することはほとんど動かし難い事実である、という。
- ^ 前近代のチベットの宗教と社会を研究している社会人類学者ジェフリー・サミュエルは、実情としてはダライ・ラマの属するゲルク派とカルマパの属するカルマ・カギュ派の間にはいまだにある種の緊張関係があることを指摘している[10]。また、シュクデン問題はゲルク派さえもダライ・ラマを中心にまとまった一枚岩の教団でないことを露呈させ、シュクデンを祀る強硬派はゲルク派から分離してダライ・ラマの反対勢力となった。
出典
- ^ デエ 2005, p. 127.
- ^ ペマ・ギャルポ p.87
- ^ 石濱裕美子 『図説 チベット歴史紀行』 河出書房新社、1999年、p.84
- ^ a b デエ 2005, p. 135.
- ^ van Schaik, p. 123.
- ^ van Schaik, p. 145.
- ^ スネルグローヴ & リチャードソン 1998, p. 263.
- ^ 正木 2008, p. 176.
- ^ a b 田中 2000, p. 68.
- ^ “IN THE HIGH COURT OF NEW ZEALAND AUCKLAND REGISTRY” (PDF). 2019年4月13日閲覧。
- ^ 田中 2000, p. 114.
- ^ a b チベット亡命政府情報国際関係省『チベット入門』 鳥影社、1999年。[要ページ番号]
- ^ ルヴァンソン 2009, pp. 24–25.
- ^ a b ルヴァンソン 2009, p. 41.
- ^ 田中 2000, p. 110, 127.
- ^ 田中 2000, p. 127.
- ^ a b スネルグローヴ & リチャードソン 1998, p. 293.
- ^ a b 田中 2000, p. 97.
- ^ 田中 2000, p. 118.
- ^ ツルティム・ケサン & 正木 2008, pp. 110–111.
- ^ 田中 2000, p. 98.
- ^ 田中公明 『図説 チベット密教』 春秋社、2012年、p.55
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