タニワタリノキ連下に置くか否か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 10:22 UTC 版)
「タニワタリノキ連」の記事における「タニワタリノキ連下に置くか否か」の解説
Naucleeae というナウクレア属(Nauclea)をタイプ属とする連の呼称自体は薬用植物に焦点を当てたヴィンツェンツ・フランツ・コステレツキー(1833年)やオランダ領インド(現在のインドネシア)の植物を対象としたフリードリッヒ・アントン・ヴィルヘルム・ミクェルの著作(1856年)に見られ、単に〈ナウクレア属をタイプ属とするまとまり〉に範囲を広げるのであればコンスタンティン・ラフィネスク(英語版)が1820年に用いた科 Cephalantia の亜科 Nauclidia という概念もかつては提唱された。現代における分類の原型となる定義を行ったのは Schumann (1891:55–60) で、この時のタニワタリノキ連の内訳は以下の9属であった。 Adina タニワタリノキ属 Anthocephalus [= Neolamarckia クビナガタマバナノキ属] Breonia Cephalanthus ヤマタマガサ属 Mitragyna ミトラガイナ属 Nauclea ナウクレア属 Ourouparia [= Uncaria カギカズラ属] Paracephaelis Sarcocephalus なおこの時点ではヨヒンベノキ属(Corynanthe)はキナノキ連(Cinchoneae)とされた。ともあれタニワタリノキ連にはこのように球形の頭状花序を特徴とする属が集められ、Verdcourt (1958) もこの枠組みを非常に自然なまとまりだと評価し、Wernham (1912) や Airy Shaw (1973) などのように科階級に昇格させる動きさえ見られたこともあった。ただ逆に言えば頭状花序を持つということぐらいしか共通性がなく、同様の特徴はアカネ科のほかの連にも見られるとしてコリン・リズデイル(スペイン語版)はミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連からキナノキ連に移して亜連 (英: subtribe) Mitragyninae として括り、ヤマタマガサ属に関しては単独で連 Caphalantheae を為すとする措置を取った。しかし1995年にアカネ科の複数属から代表して1種ずつ選び、その葉緑体DNA(英語版)のタンパク質コードに関わる遺伝子rbcLの連続(シークエンス)を分析することによる科内の系統関係の検討が試みられたところ、キナノキ連の亜連 Mitragyninae という区分は側系統的でヤマタマガサ属に至ってはほかのタニワタリノキ連と非常に近縁であるという分析結果が得られ、連 Cephalantheae や亜連 Mitragyninae の位置付けを支持する根拠は一切存在しないとまとめられた。さらに21世紀に入ってからリボソームDNAの内部転写スペーサー(英: internal transcribed spacer; 略称: ITS)領域や葉緑体DNAのrbcL領域やコーディングとは無関係なtrnT-F領域の解析に形態的特徴を加味した検討も行われた結果、ヤマタマガサ属・ミトラガイナ属・カギカズラ属は再び、ヨヒンベノキ属もこの際に明確にタニワタリノキ連に置かれるようになった。
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