ソリッド・ファクツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 01:17 UTC 版)
「健康の社会的決定要因」の記事における「ソリッド・ファクツ」の解説
世界保健機関欧州地域事務局は、健康の社会的決定要因に関する意識の向上を目的として、1998年よりソリッド・ファクツ(しっかりとした根拠のある事実)を公表している。2003年には第2版が公表されている。ソリッド・ファクツでは、社会的決定要因として以下の要因を説明している。 社会格差どのような社会においても、社会的地位が低いと、平均寿命は短く、疾病が蔓延している。保健政策は、健康の社会的経済的決定要因に取り組むべきである。 ストレスストレスのある環境は、人々を不安と憂慮で満たし、ストレスにうまく対応すること(ストレス・コーピング)を難しくする。そして健康を害し、早世へつながる。 幼少期人生のスタートでは、母親と幼児の支援が大切である。早期の発達と教育の健康への影響は、生涯続く。 社会的排除生活の質が低いと、その人生は短くなる。苦痛、憤慨、貧困、社会的排除、差別は、命を犠牲にする。 労働職場でのストレスは、疾病の相対危険度を高める。仕事を管理できる人々ほど、健康管理も良くできる。 失業雇用の確保は、健康と快適な暮らし、働きがいをもたらす。失業割合が高いことは、疾病の蔓延と早世をもたらす。 社会的支援家庭や職場、地域における友情、好ましい社会的関係、強力な支援ネットワークは、健康をもたらす。 薬物依存人々は、アルコール飲料、麻薬、喫煙に走り、被害を受ける。しかし薬物依存は社会的状況により生じている。 食品食品供給を管理しているのは世界経済であるため、健康的な食生活環境の整備は政治的課題である。 交通健康的な交通環境とは、公共交通機関の充実により、自動車運転が少なく、ウォーキングやサイクリングの多い環境である。 ソリッド・ファクツの各章は、分かっていること(What is known)、政策への示唆(Policy implications)、参考文献(KEY SOURCES)からなり、健康づくりにおける政策の重要性を強調している。 ソリッド・ファクツでは、それぞれの社会的決定要因とその重要性について解説を加えながらも、これらは先進国における資料に基づいており、決定要因と社会の発達度との関係から、開発途上国においては、そのことを考慮すべきであるとしている。
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