スペース・ダイバーシティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:34 UTC 版)
「直交周波数分割多重方式」の記事における「スペース・ダイバーシティ」の解説
OFDMベースの広範囲放送規格では、受信機は複数の空間的に離れた送信機からの信号を同時に受信することで様々なメリットを得ることができる。これは複数の送信機からの信号の発信は限定されたサブキャリア間の干渉を引き起こすだけであり、一般的には広範囲の信号増強になるためである。これは多くの地域において複数の送信機が同じ周波数帯で同じ信号を同時に送信する単一周波数ネットワーク(SFN、英語: single frequency networks)を可能にするメリットがある。SFNは送信データを異なる周波数に置き換えて再送信する従来の複数周波数ネットワーク(MFN、英語: multi-frequency networks)と比較してはるかにスペクトルを効率よく利用できる。SFNは異なる送信機間にある受信機においても結果的にダイバーシティ利得の増加のみとなる。これにより全てのサブキャリアの受信信号平均強度が増えるため、MFNと比較しカバーエリアは広がり、ユーザが必要レートを下回る確率は比較的減少する。 ガードインターバルはデータに冗長性を持たせる、つまり伝送容量を減らすだけであるが、放送システムで使用されるようなOFDMシステムは意図的に長いガードインターバルを使用している。これはSFNにおいて送信機間隔をより大きくすると同時に、SFNセルサイズをより拡大できるようにするためである。SFNにおける送信機間隔の最大距離は信号がガードインターバル期間内に進む距離と同程度とするのが目安である。例えば、ガードインターバルが200マイクロ秒であれば送信機間隔は最大60kmとなる。 SFNは送信機マクロダイバーシティの一形態であると言える。この概念ではSFNグループのタイムスロットを変更する動的単一周波数ネットワーク (DSFN) の利用が可能である。 OFDMはアレイアンテナやMIMOチャネルといった他の種類のスペース・ダイバーシティと組み合わせることも可能である。これは無線LANの標準規格のひとつであるIEEE 802.11nで使用されている。
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