ジュール・ラフォルグ
ジュール・ラフォルグ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 08:22 UTC 版)
『Kの昇天』の作中で、〈哀れなる哉、イカルスが幾人も来ては落つこちる〉と記されているのは、ジュール・ラフォルグの詩「月光」の中の一節である。ラフォルグはフランスの詩人で、厭世的な素顔をピエロの仮面で隠したと評された。 基次郎は上田敏の邦訳したラフォルグの詩集『海潮音』、『牧羊神』を愛読しており、『シラノ・ド・ベルジュラック』同様、月の光に魅せられる人物イメージの着想をラフォルグの詩篇からも得ていたことが看取される。 あゝ月は美しいな、あのしんとした中空を 夏八月の良夜に乗つきつて。帆柱なんぞはうつちやつて、ふらりふらりと 転けてゆく、雲のまつ黒けの崖下をあゝ往つてみたいな、無暗に往つてみたいな、 尊いあすこの水盤へ乗つてみたなら嘸よからう。お月さまは盲だ、險難至極な燈臺だ。 哀れなる哉、イカルスが幾人も来ておつこちる。 自殺者の眼のやうに、死つてござるお月様、 — ジュール・ラフォルグ「月光」(上田敏訳)
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