シャープ‐レシオ【Sharpe ratio】
読み方:しゃーぷれしお
投資のリスクに対するリターンの大きさを示す指標。過去の一定期間にポートフォリオがどれだけ安定して利益を上げたかを示すもので、投資信託などの運用実績の評価に広く用いられる。米国の経済学者ウィリアム=シャープ(1990年ノーベル経済学賞受賞)が考案。過去の一定期間の収益率をリスク(価格変動の標準偏差)で割って求める。数値が高いほど、リスクに対して得られるリターンが大きく、投資効率がよいとされる。
[補説] 投資では一般に、リスクの高い(価格変動が大きい)資産に投資すると、高い収益を得られる可能性が高いとされる(ハイリスクハイリターン)。しかし、その反面、大きな損失を被る可能性も高く、リスクの高い投資対象で短期的に大きな収益が得られた場合、偶然が大きく作用したと考えられる。したがって、単純に収益率(価格上昇率)を比較するだけでは、必ずしも長期的に安定した収益を確保できる資産を選択できるとは限らない。シャープレシオは分母にリスクを置いて収益率を計算するため、運用の安定度と効率性の両面から投資対象資産を比較評価することができる。
シャープ・レシオ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 10:21 UTC 版)
シャープ・レシオ(英: Sharpe ratio)とは、投資の効率性を測る指標で、1966年にウィリアム・シャープにより提案された[1]。
- 1 シャープ・レシオとは
- 2 シャープ・レシオの概要
- 3 欠点
- 4 参考文献
シャープ・レシオ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 04:08 UTC 版)
「資本資産価格モデル」の記事における「シャープ・レシオ」の解説
CAPMの下でウィリアム・シャープが提案した投資の効率性を測る指標であるシャープ・レシオについて以下で述べるような関係が成立する。金融資産 i {\displaystyle i} の収益率を R i {\displaystyle R_{i}} とすれば、そのシャープ・レシオ S i {\displaystyle S_{i}} は S i = E [ R i ] − r f V a r ( R i ) {\displaystyle S_{i}={\frac {E[R_{i}]-r_{\mathrm {f} }}{\sqrt {\mathrm {Var} (R_{i})}}}} で定義される。この時、資産 i {\displaystyle i} の収益率と市場ポートフォリオの収益率 R m {\displaystyle R_{\mathrm {m} }} の相関係数 ρ i m {\displaystyle \rho _{i\mathrm {m} }} は次で定義される。 ρ i m = C o v ( R i , R m ) V a r ( R i ) V a r ( R m ) {\displaystyle \rho _{i\mathrm {m} }={\frac {\mathrm {Cov} (R_{i},R_{\mathrm {m} })}{\sqrt {\mathrm {Var} (R_{i})\mathrm {Var} (R_{\mathrm {m} })}}}} よってCAPMが成立しているならば、資産 i {\displaystyle i} のシャープ・レシオについて以下の等式が成立する。 S i = E [ R i ] − r f V a r ( R i ) = β i m V a r ( R i ) ( E [ R m ] − r f ) = C o v ( R i , R m ) V a r ( R m ) V a r ( R i ) ( E [ R m ] − r f ) = ρ i m E [ R m ] − r f V a r ( R m ) = ρ i m S m {\displaystyle S_{i}={\frac {E[R_{i}]-r_{\mathrm {f} }}{\sqrt {\mathrm {Var} (R_{i})}}}={\frac {\beta _{i\mathrm {m} }}{\sqrt {\mathrm {Var} (R_{i})}}}{\Big (}E[R_{\mathrm {m} }]-r_{\mathrm {f} }{\Big )}={\frac {\mathrm {Cov} (R_{i},R_{\mathrm {m} })}{\mathrm {Var} (R_{\mathrm {m} }){\sqrt {\mathrm {Var} (R_{i})}}}}{\Big (}E[R_{\mathrm {m} }]-r_{\mathrm {f} }{\Big )}=\rho _{i\mathrm {m} }{\frac {E[R_{\mathrm {m} }]-r_{\mathrm {f} }}{\sqrt {\mathrm {Var} (R_{\mathrm {m} })}}}=\rho _{i\mathrm {m} }S_{\mathrm {m} }} ここで、 S m {\displaystyle S_{\mathrm {m} }} は市場ポートフォリオのシャープ・レシオである。相関係数 ρ i m {\displaystyle \rho _{i\mathrm {m} }} は-1から1までの値しか取らないので、市場ポートフォリオのシャープ・レシオ(つまり市場ポートフォリオのリスクプレミアム)が正ならば個別資産のシャープ・レシオは必ず市場ポートフォリオのシャープ・レシオを下回ることが言える。リスクプレミアムの項で説明されているように、リスクプレミアムは通常、正であるので次の不等式が成り立つ。 S i ≤ S m {\displaystyle S_{i}\leq S_{\mathrm {m} }} CAPMの線形性と合わせて考えると、CAPMの下ではどのようなポートフォリオを考えたとしても、市場ポートフォリオよりシャープ・レシオの観点で効率的なポートフォリオは組成できないことが言える。市場ポートフォリオは時価総額加重平均ポートフォリオなので、S&P500などの時価総額加重平均型株価指数と同一視できる。よってインデックス運用と呼ばれる市場インデックス連動型の運用方針が用いられる理論的背景として、このようなシャープ・レシオによる説明が可能である。
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