ゲッシュとは? わかりやすく解説

月珠

読み方:ゲッシュ(gesshu)

作者 原抱一庵

初出 明治24年

ジャンル 翻訳小説


ゲッシュ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/15 02:40 UTC 版)

ゲッシュ(geis, geas)またはギャサ(geasa、geasの複数形)は、「禁忌(タブー)」を意味するアイルランド語[1][2]

ケルト神話の、とくにアルスター伝説や王族伝説群において、各人に課せられる「○○の場合は、けっして○○はしてならない」のような制約(義務や誓い)である。ひとつの則に限らず、複数が課せられる。ゲッシュを厳守すれば神の祝福が得られるが、一度破れば禍が降りかかると考えられた。また、ゲッシュが厳しいものであればあるほど受ける恩恵も強いと言われる。古来、英雄の破滅はその様なゲッシュに反する事で、多くは事故の形で訪れる。

古い時期の文献では、予め運命に定められて変更が不可能な事象として表れているが、時代が下ると自ら誓ったり、魔術の行使により、人に掛けることのできる命令や禁止の形も認められる[2]。 特に初期アイルランド神話では敵対する人物からの挑戦の口上や、自分の意に沿わぬ人物からの一方的な宣言として投げかけられるゲッシュが多く、その場合ゲッシュは呪い呪文に近いものとして作用する[3]

クー・フーリンの例を挙げると、<犬の肉を食べない>(自らの「クランの猛犬」という名前の由来であるため)、<自分より身分の低いものからの食事の誘いを断らない>、<詩人の言葉には逆らわない>、といったものがあるが、いずれも宿敵メイヴに利用され、命を落とす原因となっている。

『ダ・デルガの館の崩壊』の主人公であるアイルランド上王コナレ・モールも、自らに課せられた多くのゲッシュを、まるで運命にひきこまれるように次々と破るかたちとなり、停泊した館で襲撃を受けて命を落とす。[4]

デアドラ物語(『ウシュリウの息子らの追放』)では、コンホヴァル・マク・ネサ王は、屈指の戦士フェルグス・マク・ロイヒを親善大使にたてて、ノイシュらをスコットランドへ迎えに行かせる。フェルグスは、ウシュリウの息子らやデアドラらの身元保証人のひとりであり、つまり、その名誉にかけて彼らの安全を保つ義務があったので、必要とあらば用心棒の役を果たすはずだった。しかしコンホヴァル王は、フェルグスが<勧められた饗応を断ってはならない>というゲッシュをもつことを逆手に取り、王の回し者の饗応によってフェルグスを足止めさせた。逆に、ウシュリウの息子らは、<アイルランドに入れば、まずまっさきにコンホヴァルがふるまう食事でないと口にしてはならない>という誓約(ゲッシュ)を立てていたので、そこにとどまっては空腹するばかりだった。コンホヴァルの奸計で、ウシュリウの子らは、まずフェルグスから引き離され、謀殺されたのであった[5]

ゲッシュ(アイルランド神話の現象)とウェールズ神話の英雄の予言された死は類似していると考えられる。それらは同じケルト神話の変種であるためである。 ゲッシュが元々なんの目的で用いられたのかは明らかではないが、動物と結びついたゲッシュがとても多いことからトーテム崇拝との関連が推測される[3]。また、ドルイド教の禁忌が元になって成立したという説もある[3]

脚注

  1. ^ "geis. (a) a tabu, a prohibition" eDIL)
  2. ^ a b ベルンハルト・マイヤー『ケルト事典』創元社、2001年、p75。
  3. ^ a b c イアン・ツァイセック 『図説 ケルト神話物語』 山本史郎・山本泰子訳 原書房 1998年 第2刷 ISBN 4562030984 pp.7-10.
  4. ^ Stokes, Whitley (1902) (Internet Archive), Togail Bruidne Dá Derga: The Destruction of Dá Derga's Hostel, Paris: Librairie Émile Bouillon, https://archive.org/details/togailbruidnedde00stok/ 編・英訳
  5. ^ Thomas Kinsella 英訳, The Táin (1969), p.14。このゲッシュを利用した策略は、近代版『デアドラ』にも見られる。

ゲッシュ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/14 16:30 UTC 版)

アリアンロッドRPG 2E」の記事における「ゲッシュ」の解説

2E』で設けられ新ルール神々からの恩恵を受けるための誓約とされ、指定されスキル取得できる恩恵」、恩恵を受け続けるための条件制約」、制約破った場合ペナルティ天罰」から構成される。 なお、誓約七大神(ダイワ群島国神殿マジェラニカ大陸沿岸地方において、アエマ(ナキハサメ)と差し替えられる形で信仰されているリアールスサノオ)を除く)の他、その眷属である”運命精霊女王アリアンロッドや「動物の王」、自分自身自分武器、そして「邪神を除く全ての神々に対して立てられる

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ゲッシュ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 06:21 UTC 版)

フェルグス・マク・ロイヒ」の記事における「ゲッシュ」の解説

フェルグスのゲッシュはふたつあり、ひとつは「宴会断ってならない」、もうひとつは「ノイシュを危険から護る」というものである

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ゴーストコンピューター上のデータによって形作られている人工の霊的存在。守護霊魔術師が能力の強化などのために自分のソウルに融合させる別のソウル。ソウルの融合によってそのソウルの性能を得ることができる。守護霊は1人につき1体のみ。異次元空間ソウルをエネルギーとして作られている第二の現実世界。異次元空間によって、実体は一都市である塔京が広大な面積を有するのと同じ状態を作っている。ホムンクルス魔法によって作られた人造人間。法律上は人でなく物品としてあつかわれ、売買の対象にもなり、高価。BABEL魔法の使用を統御する基幹的なプログラムの名。魔術師になるためにかならずソウルに組みこまれる。キャスター、グリモワール簡単な動作だけで特定の魔法を発動できるようにした物体、器具。決まった魔法のみ使うことのでき、使用者による差のないキャスターと、各人がオリジナルの魔法を使うのに用いるグリモワールに分けられる。人間霊、動物霊、人工霊人間の持つソウルを人間霊、人間以外の動植物のソウルを動物霊という。人間霊や動物霊を改造して元あった人格とは別の人格を加えたものを人工霊という。使い魔/ファミリア魔術師が簡単な職務の代行などのためにプログラミングによって作った人工の霊的存在。一将は戦闘用にも使用する。主人からは使い魔の五感を共有することができる。テレパシーや遠隔操作も可能。真央は人間だが例外的に使い魔と同じ立場となった。ゲッシュ
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