エリン (戦艦)とは? わかりやすく解説

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エリン (戦艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/25 13:53 UTC 版)

エリン (英語: HMS Erin) は、イギリス海軍が建造した超弩級戦艦である[2]。元はオスマン帝国イギリスに発注したレシャディエ級戦艦英語版トルコ語版ネームシップで、当初は「レシャド5世Reshad Vトルコ語: Reşad V)」と命名される予定であったが、後に「レシャディエ (ReshaddiehReşadiye)」と命名された[3][4]


  1. ^ ちょうどオスマン帝国はドイツ帝国と軍事同盟英語版ドイツ語版を結んだばかりだった[5][6]
  2. ^ 同時に接収されたトルコ戦艦スルタン・オスマン1世は、英戦艦エジンコート (HMS Agincourt) と改名された[9]
  3. ^ イギリス海軍からギャンブル英語版提督(1909年2月~1910年3月)、ウィリアムズ英語版提督(1910年4月~1912年4月)、リムパス英語版提督(1912年5月~1914年9月)が派遣され、オスマン帝国艦隊総司令官(コモンドン・ド・ラ・フロット)に任命されていた[17]
  4. ^ アーサー・リンパス提督(イギリス海軍使節団)はオスマン帝国の海軍力を強化すると共に「イギリスは海軍や沿岸警備に幅広い経験を有しています」「地上戦に関してはドイツ陸軍とドイツ人顧問に、そして海軍についてはイギリスの顧問から聞くのが一番賢明だと確信しています。」とオスマン海軍本部に進言した[18]
  5. ^ 武装巡洋艦アヴエロツフ(一九一〇年三月進水)[20] 排水量九四五〇噸、時速二二節半。伊太利の同種艦ピサの姉妹艦。三六吋探照燈二基を有す。
  6. ^ トルコ側が希望したのは「其ノ語氣ヨリ察スルニ伊吹鞍馬型巡戦生駒筑波型巡戦)ノ如キモノヲ希望シ居ルカ如シ」であったという(珍田大使より小村外務大臣へ報告)[22]
  7. ^ ドイツ艦は、装甲艦バルバロス・ハイレッディン (Barbaros Hayreddin) (旧名:クルフェスト・フリードリヒ・ヴィルヘルム) 、装甲艦トゥルグト・レイス (Turgut Reis) (旧名:ヴァイセンブルク) と改名した。
  8. ^ ビッグマンスペシャル『世界の戦艦、大艦巨砲編』152ページでは、オスマン帝国が発注したのはレシャディエ (Reşadiye) 、レシャディエハミス (Reshad-i Hammiss) 、ファチキ (Fatih) とする[28]
  9. ^ ギリシャ政府はドイツ帝国に戦艦サラミス (Σαλαμίς) を発注した[30]フランス[31]戦艦ヴァシレフス・コンスタンチノス(Βασιλεύς Κωνσταντίνος Ι) を発注した。
  10. ^ 接収時の状況を、新戦艦配属予定だったラウフ・オルバイが自伝『地獄の石臼』で回想している。
  11. ^ トルコは已に八月一日に於て、ドイツとの秘密の同盟條約を結び、ロシヤが戰爭に参加せば、相互の間に應援義務の發生すべきを定めたり。同日午後ロシヤが戰爭に加はるに至り、同盟條約の實施條件が備はるに至れり。オーストリヤも亦トルコとの同盟條約に加盟せり。該條約は嚴に秘密に付せられ、トルコの参戰の準備成るの日に至る迄、トルコは中立の維持を装ふべきことと爲せり。』聯合軍側に於て、八月一日のドイツ、トルコ間の秘密同盟條約の成立を確知し得ざりしより、トルコに對して種々の提議を爲し、之をして中立を維持せしめんと計れり。』ヨーロッパ大戰開始の頃、八月三日に於て、イギリス内閣は、國内の造船所に於てトルコ政府の爲めに製造中なりし二隻の軍艦の徴發を行ひ、トルコ政府の憤怒を招けり。ドイツ、イギリス間の開戰あるや、ドイツ軍艦ゲーベン號及びプレスラウ號の二隻がボスフォラス海峡に竄入し、トルコは是等のドイツ軍艦を購入せりと稱し、イギリス政府は、國際法違反の故を以て、之に關して抗議を提出せり。[35](以下略)
  12. ^ a b トルコ當局は敵諸國大使に對し、軍艦ゲーベン及ブレスローの入航は、トルコが之を買上たるによるものなり、との説明を與へ、兩艦を以てかねて英國に於て建造中なりしトルコの新建造艦ズルタン・オスマン及レシャト五世の二隻が開戰と同時に、英海軍に徴發せられたるを以て其の代艦たるものなり、と主張せり。茲に於て英國はトルコに對し、戰後同價値なる代艦を引渡すべしと誓約したるにも拘はらず、トルコは兩艦はトルコの所有に轉じたりとの口實を設けて敢て動かざりき。兩艦は八月十六日トルコ旗を掲げ、同日首都の沖合に投錨し、トルコ人士官及兵員若干を配乗せしめたる後、海軍大臣は艦上に嚴粛なる儀式を擧げて兩艦の虚構なる移管を行ひ、軍艦ゲーベンにはヤブス・ズルタン・ゼリムなる艦名を ブレスローにはミデイリなる艦名を與へ、戰隊司令官ズーホン提督を、トルコ海上諸艦艇の指揮官に任命せり[38]。(以下略)
  13. ^ 巡洋戦艦ゲーベンは、オスマン帝国軍艦ヤウズ・スルタン・セリム (Yavuz Sultan Selim) となった[39]小型巡洋艦ブレスラウはミディッリ (Midilli) と改名された[38]
  14. ^ エリンが第2戦艦戦隊に転出したあと、第4戦艦戦隊には戦艦カナダチリがイギリスに発注したアルミランテ・ラトーレ英語版を接収した超弩級戦艦)が編入されている[42]
  15. ^ なお巡洋戦艦クイーン・メリー (HMS Queen Mary) が轟沈した際[47]、観戦武官の下村忠助少佐が戦死した[48]。戦艦ヴァンガード (HMS Vanguard) に派遣されていた今村信次郎少佐は、眼病のため病院船で治療中だった[46]
  16. ^ 對土協約議定書の調印[53](中略)次ぎに、賠償問題に就いては、土耳古が獨墺兩國の中央銀行に寄託せる五百萬土耳古磅の金貨と、土耳古が英國に注文せる軍艦手附金五百英磅の金貨とを聯合國に提供し、之にて土國と聯合國間の一切の損害を相殺する事に一旦協定せるを、其の後、英國は、内政上の理由により、右の手附金を聯合國間に分配しがたき事となりし爲め、其の代りとして、軍艦購入資金として英國にて募集せる土耳古の國際證券九十三萬土耳古磅に相當する額の提供を申出て、依つて、更に聯合國間の意見纏まり次第、賠償分配協約が聯合國間に調印せらるべき決せり。其他經濟篇、交通篇等も、別段の難問題なく解決せられたり。(以下略)
  17. ^ 金剛はヴィッカース社で1911年(明治44年)1月17日に起工、1912年(明治45年)5月18日に進水、1913年(大正二年)8月16日に竣工して日本に回航され、同年11月5日横須賀に到着した[62]

脚注

  1. ^ a b #エリン航跡図(大正5) pp.5,9(英駐秘第二五號附属)
  2. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 162aトルコ/RESHAD V レシャド5世(英戦艦エリン)
  3. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 162bヨーロッパ小国海軍の弩級戦艦
  4. ^ a b #大正3、希土軍備 pp.1-2「希土兩國ノ軍備現況(大正三年六月十九日附報告)」
  5. ^ a b ハワード、第一次世界大戦 2014, p. 72.
  6. ^ a b 立博士外交史論文集 1946, p. 354.
  7. ^ a b 箕作、世界大戦史前篇 1918, p. 128原本157頁
  8. ^ #大正4、英土国交断絶 p.1「英土國交斷絶顚末ニ關スル英國政府白書摘要(大正三年十一月二十一日附報告)」
  9. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 160aブラジル/RIO DE JANEIRO リオデジャネイロ(英戦艦エジンコート)
  10. ^ 外務省、世界の動き 1940, pp. 11–12(原本7-9頁)三、英露の抗爭 ― イスタンブルを中心に
  11. ^ 夢遊病者たち(2) 2017, p. 517.
  12. ^ 夢遊病者たち(2) 2017, pp. 507–513ボスボラス海峡のドイツ人
  13. ^ 外務省、世界の動き 1940, p. 13(原本10頁)六、獨露の反目 ― 英露協商
  14. ^ a b 立博士外交史論文集 1946, pp. 331–332.
  15. ^ a b c ハワード、第一次世界大戦 2014, p. 71.
  16. ^ 仏独共同通史、第一次世界大戦上 2012, p. 47.
  17. ^ 夢遊病者たち(2) 2017, p. 518.
  18. ^ 夢遊病者たち(2) 2017, p. 519.
  19. ^ #土国譲渡 pp.2-4「1910年/明治43年7月1日、珍田在ドイツ日本大使報告」
  20. ^ 世界海軍大写真帖 1935, p. 70希臘
  21. ^ a b #大正3、希土軍備 p.1「希土兩國ノ軍備現況(大正三年六月十九日附報告)」
  22. ^ a b c #土国譲渡 pp.2-4
  23. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 114aブランデンブルク/はじめて外洋での決戦を意識した独戦艦
  24. ^ #土国譲渡 pp.12-16「珍田在ドイツ日本大使報告」より
  25. ^ 仏独共同通史、第一次世界大戦上 2012, pp. 42–47バルカン戦争(1912-1913年)
  26. ^ ハワード、第一次世界大戦 2014, pp. 21–23バルカンの危機
  27. ^ 世界の戦艦、大艦巨砲編 1998, p. 152aドイツから購入した「ヤウズ・スルタン・セリム」
  28. ^ a b 世界の戦艦、大艦巨砲編 1998, p. 152b.
  29. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 161“ABC三国”の弩級戦艦をめぐる建艦競争
  30. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 130aサラミス 第一次大戦前にギリシャが発注した戦艦
  31. ^ a b c d #大正3、希土軍備 p.1
  32. ^ ハワード、第一次世界大戦 2014, p. 42.
  33. ^ 夢遊病者たち(2) 2017, p. 722.
  34. ^ a b 夢遊病者たち(2) 2017, p. 723.
  35. ^ a b c 立博士外交史論文集 1946, p. 357原本六九〇-六九一頁
  36. ^ 仏独共同通史、第一次世界大戦下 2012, pp. 102–103.
  37. ^ a b 箕作、世界大戦史前篇 1918, pp. 129–131(原本159-163頁)○トルコの参戰
  38. ^ a b c 地中海戦隊 1928, p. 41(原本49頁)
  39. ^ a b 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, pp. 126–127巡洋戦艦モルトケ
  40. ^ a b #T4、Erin見学 pp.1-2(英艦“ERIN”見学)
  41. ^ #大正5、英艦乗船報告 p.4
  42. ^ #エリン乗艦報告(2)(1) p.3
  43. ^ a b c d e 宮永 (2015), p. 22.
  44. ^ #大正5、英艦乗船報告続 p.30
  45. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 16ジュットランド海戦に参加した戦艦・巡洋戦艦
  46. ^ a b #北海々戦経過概略(1) pp.2-3(英海機密第一二號、大正5年6月16日)
  47. ^ #北海々戦経過概略(1) pp.9-10
  48. ^ 故海軍中佐下村忠助位階追陞ノ件(国立公文書館) 」 アジア歴史資料センター Ref.A11112530000  p.5
  49. ^ #北海々戦経過概略(1) p.6(英主力艦隊陣形図)
  50. ^ #ジェットランド冲海戦教訓 pp.14-15〔 (六)英艦隊発砲数(中略)2nd B.S.ガ最モ尠ク最左翼ニテ然カモ殿艦ナリシErinハ遂ニ艦隊中ノ一艦ノミ発砲スルヲ得ズ(以下略) 〕
  51. ^ 通俗的世界全史、17巻 1928, pp. 351–353, 353–355.
  52. ^ ハワード、第一次世界大戦 2014, pp. 193–196オスマン帝国
  53. ^ 通俗的世界全史、17巻 1928, pp. 355–357(原本665-669頁)
  54. ^ #T4、Erin見学 p.6
  55. ^ a b 宮永 (2015), p. 23.
  56. ^ #(Erin)船体附図 pp.2-5(PROFILE)
  57. ^ a b c d #(Erin)船体附図 pp.11-14(TOP SIDES)
  58. ^ #ジェットランド冲海戦教訓 p.51(ERIN)
  59. ^ #ジェットランド冲海戦教訓 p.12
  60. ^ #大正5、英艦乗船報告続 p.34
  61. ^ 写真日本の軍艦(II) 1989, pp. 25–26新造時の金剛
  62. ^ 写真日本の軍艦(II) 1989, pp. 38–39戦艦『金剛』行動年表
  63. ^ a b 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 114b.
  64. ^ #T4、Erin見学 pp.1-2(英艦“ERIN”見学)
  65. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 144bインペラトリッツァ・マリーア IMPERATRITSA MARIYA
  66. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 146aガングート/三連装砲塔を採用したロシア初の弩級戦艦
  67. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 146bインペラトリッツァ・マリーア/大戦と革命で失われた黒海艦隊用の弩級戦艦
  68. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 130b.
  69. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 145aボロジノ BORODINO
  70. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 145cボロジノ/幻となった三十五.六センチ砲搭載艦
  71. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 145b.
  72. ^ 世界の戦艦、弩級戦艦編 1999, p. 51ミシシッピー/小型、重武装の異色のアメリカ戦艦
  73. ^ 世界の戦艦、大艦巨砲編 1998, p. 153aギリシャ/戦艦「キルキス」
  74. ^ 世界の戦艦、大艦巨砲編 1998, p. 153b.


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