ウキクサとの関わり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 08:14 UTC 版)
「アクアポニックス」の記事における「ウキクサとの関わり」の解説
アクアポニックスを実際に運用してみると、メディアベッド、DWC(Deep Water Culture system)、NFT(Nutrient Film Technique)いずれの場合にも水の滞留する場所にウキクサが発生することがある。例えば、濾過槽など、水の動きの遅い場所などにはウキクサが大量に発生し、排水口を詰まらせるなど厄介者として知られている。ウキクサは、ウキクサ、アオウキクサやコウキクサなど小さなウキクサが多い。ウキクサは比較的光の弱い場所でも繁茂し、その増殖速度は2~3日で2倍くらいに増殖するものもある。(動画)観察してみるとわかるが、ウキクサが良く繁茂する場所は、水の滞ったところである。また、ウキクサは、好アンモニア性植物であり、アンモニア態窒素を積極的に利用することのできる植物である。このため、汚泥が沈殿し水の流れの少ない濾過槽のようなところにはよく生育することができるわけである。ウキクサをの生育をコントロールする方法には、水がゆっくりと流れる場所をつくらないことや、ウキクサが生育しやす場所に光が入らないように板や遮光ネットなどで蓋をしてしまうことである。反対に、ウキクサを積極的に繁茂させる槽を設けて、定期的にウキクサをすくいあげて水中のアンモニアなどを積極的に除去する方法もある。すくいあげたウキクサは、もみ殻などと混ぜ堆肥化したり、メタン発酵を用いて液肥化するなどの手法も有効である。つくば3Eフォーラムバイオマスタスクフォースでは、アクアポニックス技術のマニュアル化及びアクアポニックスへのバイオマス技術の新たな活用の ための試行(継続)~アクアポニックス・バイオマス研究開発によって得られた知見の湖沼浄化 への発信~というテーマの研究プロジェクトで、アクアポニックスで発生したウキクサを試料として、メタン発酵によるガス発生の有無について確認した。水棲生物養殖時の水質浄化用植物としてウキクサを用いることは、それ自体アクアポニックスともいえる。ウキクサは英語でduckweedと翻訳され、カモなども食べることのできる植物である。FAOの出版物「DUCKWEED: A tiny aquatic plant with enormous potential for agriculture and environment」によれば、ウキクサはタンパク質が豊富で、魚、鶏、豚、牛などの補助的な飼料として実際に世界中で利用されてきたことが記されている。ただし、ウキクサのみを飼料とした場合、生育は悪くなってしまうため、あくまで補助的な飼料として利用することが重要である。小規模なアクアポニックスでは、コンポスト化など肥料として用いることが簡便である。
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