《要る》の敬語
「要る」の敬語表現
「要る」の丁寧語は「要ります」です。これは「要る」という動詞を連用形「要り」にし、丁寧の助動詞「ます」を付けた形になります。また、「要る」は「ご入用」と表現すれば謙譲語となります。これは「要る」という意味の「入用」に、謙譲の意味を含む接頭語「ご」が付いた形です。読み方は「ごいりよう」となります。「要る」の敬語の最上級の表現
「要る」の敬語表現は「ご入用」のみで、これが最上級の謙譲表現にあたります。ただし、「ご入用ですか」といったように、丁寧の助動詞「です」を付けて使う場合などは、「ご入用」のより丁寧な表現とも言えるでしょう。「要る」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「要ります」という丁寧語は、例えば「会議にはパワーポイントが要ります」「書類は要りますか」などといったようにビジネスメールや手紙で使われます。丁寧語「要ります」は、主に同僚や部下に宛てたメールで使うようにしましょう。一方「要る」の謙譲語「ご入用」は、上司や取引先など目上の人に宛てたメールや手紙で使います。同僚や部下に宛てたメールで使うのは適切ではありません。「ご入用」はビジネスメールや手紙において、相手に何か必要であるか尋ねる場合によく使われます。例えば「明日の会議の資料はご入用ですか」「領収書はご入用ですか」といった使い方があります。顧客や取引先に宛てたメールなどでは、「何かご入用の際は是非弊社にご連絡下さい」といった使い方も多いです。「どれくらいの納品がご入用でしょうか」「サンプルはいつまでにご入用でしょうか」という例文もあります。
「要る」を上司に伝える際の敬語表現
「要る」を上司に使う場面は、例えば手持ちのお金が足りない様子の時などがあります。そのような場面では、「ご入用でしたら私が代わりにお支払いいたします」と声を掛けると良いでしょう。上司の仕事に必要なものをいつでも準備できる状態の時に、「何かご入用でしたらいつでもお申し付けください」と言うこともよくあります。「出張にご入用のものは準備いたしました」というのも例文の一つです。一方「要る」のが自分であることを上司に伝えたい場合、「入用」という形にして使いましょう。例文は「資料は50部ほど入用となります」や「商品サンプルの製作に100万円ほど入用となりそうです」などです。「新しいパソコンが入用となったのですが経費で購入可能でしょうか」と尋ねることもできます。
「要る」の敬語での誤用表現・注意事項
「ご入用」は、主に物やお金に対して使う言葉であり、抽象的なものや時間などに使うことはできません。例えば仕事が終わるまでにあとどれくらいの時間が掛かるのか尋ねる場合に、「どれくらいの時間がご入用ですか」と表現するのは誤りです。「ご入用」を「ご用命」と混同して使うのもよくある間違いでしょう。「用命」とは、「用事を言いつけること」「注文をすること」という意味の言葉で、「ご用命」は尊敬の意味を含む接頭語「ご」がついた尊敬表現です。「ご入用」とは意味が異なるため、言い換え表現として使うことはできません。しかし「何かご入用のものがございましたらご用命下さい」といったように、併用するのは可能です。また、「ご入用」を口頭で使う際には、「ご利用」と聞き間違える可能性があるため注意して下さい。例えば資料が必要かどうか尋ねる際に「資料はご入用ですか」と言ったつもりが、相手には「資料はご利用ですか」と伝わってしまうおそれもあるのです。これでは資料を使っているかどうか尋ねていることになり、本来尋ねたかったこととは意味が違ってしまいます。
さらに例を挙げると、例えば会社の備品としてパソコンを購入する際に、「パソコンは何台ご入用でしょうか」と尋ねたとしましょう。これが「パソコンは何台ご利用でしょうか」と伝わってしまうと、現在パソコンを何台使っているのか尋ねていることになってしまいます。トラブルを避けるためにも、「ご入用」を口頭で伝える際ははっきりと発音するようにしましょう。他にも「ご入用」は、相手が必要とするものが用意できない場合には使えない表現であるという点には注意しなければなりません。例えばサンプルの用意がないのに、「サンプルはご入用ですか」と尋ねるのは誤りです。
「要る」の敬語での言い換え表現
「ご入用」は、「ご所望」と言い換えることができます。読み方は「ごしょもう」です。これは欲しいという意味の名詞「所望」に、丁寧の意味を含む接頭語「ご」を付けた形となります。「ご所望の資料をお届けいたします」といった使い方があります。「ご必要」も「ご入用」の言い換え表現として利用可能です。これは「必要」という名詞に、丁寧の意味を含む接頭語「ご」が付いた形になります。例えば「何かご必要の際はお申し付け下さい」といった使い方があります。「何かして欲しいと望むこと」という意味の「要望」の敬語表現「ご要望」も、「ご入用」の言い換えとして利用できる場合があるでしょう。読み方は「ごようぼう」です。例えば「何かご要望のものがあればご連絡下さい」という使い方があります。ただし、「ご要望」は、目に見えない状況を望む際に使うことが多い言葉であり、「ご入用」の言い換えとしては不自然になる場合もあるため注意しましょう。
- 《要る》の敬語のページへのリンク