X-2 (航空機・アメリカ) X-2 (航空機・アメリカ)の概要

X-2 (航空機・アメリカ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/27 00:14 UTC 版)

X-2

歴史

1945年10月、ベル社はドイツから持ち帰った技術である後退翼を持った、高速実験機の開発をスタートした。やがてこの機体はアメリカ陸軍航空軍の目に留まることとなり、同年12月にXS-2として、マッハ3.5の超音速と高度40,000m弱の上昇、および空力加熱について研究を進めることになった。

X-2は、空力設計、制御システム、高温でも十分な機械的特性を保持する材料など、様々なイノベーションが必要であったため開発期間が長期化した。X-2は、当時の他の航空機を超える速度、高度、温度および有人飛行の限界を押し上げただけでなく、アメリカの航空機におけるスロットル式ロケットモーター(第二次世界大戦中にMe163Bで実証済み)とデジタル飛行シミュレーションのパイオニアとなった[2]カーチス・ライト社が製造したXLR25ロケットエンジンは、1942年にロバート・ゴダードが海軍向けに製造された滑らかな可変推力のJATOエンジンがベースになっている [3]

運用履歴

実験機2機が作成されることとなり、1950年11月11日ナイアガラフォールズの工場において、先に2号機が完成した。空中母機の開発遅延により1952年から滑空試験を開始した。1953年5月12日、2号機による初の動力飛行が計画され、母機B-50Aに搭載、オンタリオ湖上空において、試験が行われることとなった。しかし、母機からの発進前に爆発、母機は帰還できたものの試験機は失われ、ベル社のテストパイロット、ジーン・ジーグラーと観測員1名が死亡した。また、1号機は1955年11月18日から動力飛行を開始した。

1956年7月23日の9回目のフライトで、フランク・エベレストの操縦する1号機は3,058km/h(マッハ2.8706)の速度記録を樹立。1956年9月7日の12回目のフライトでは、アイヴン・キンチェローの操縦により高度38,376mに到達した。1956年9月27日の13回目のフライトにおいて、ミルバーン・アプトが2,178マイル毎時(マッハ3.3)を記録するが、帰途に操縦不能となり、機体から脱出カプセルは分離したものの、アプトはカプセルからの脱出が間に合わずに死亡した[4]。2機とも事故で失われたため、実験は終了した。

機体形状

X-2は40度の後退角を持った水平尾翼と主翼を装備する。耐熱性を考慮し、機体にはKモネルと呼ばれるニッケルの合金が使用されている。また、機首切り離し型の脱出装置を備える。エンジンとしてカーチス・ライト製XLR25ロケットエンジンを1基装備。酸化剤・燃料には液体酸素・アルコールを用いている。降着装置は前輪と橇である。

X-2は空中母機EB-50の胴体下に懸架されて離陸し、空中にて母機から投下され、ロケットエンジンに点火後、実験飛行を行なう。


  1. ^ https://archive.org/details/Aviation_Week_1957-10-21/page/n55?q=aviation+week+thicket+thermal p.112
  2. ^ Machat 2005, p. 37.
  3. ^ Lehman, Milton (1963). Robert H. Goddard. New York: Da Capo Press. p. 351 
  4. ^ The Last Flight of the X-2 - Air Force Magazine


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