VALORANT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/03 23:31 UTC 版)
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本作はプレイヤー5人対5人で爆弾の設置をめぐる攻防や、独自の能力を持つキャラクター制の作品であることから、『カウンターストライク グローバル・オフェンシブ』(CS:GO)や『オーバーウォッチ』と比較されることが多い[92][93][94]。CS:GOは海外のeスポーツトーナメントのFPS競技タイトルとして広く採用されている作品であるが、海外のメディアArs Technicaは、本作が「王座(CS:GO)に挑むのに最適な候補者」と評している[92][94]。一方で、キャラクターの設定やストーリーについては、作り込みが足りないという声もある[92][95]。
アンチチートについての論争
本作にはアンチチートソフトウェアとして、ライアットゲームズ独自の「Riot Vanguard[96]」が導入されている。しかし、このソフトウェアがコンピュータのシステムへのアクセスを可能にするカーネルドライバとして実行することが明らかになったため、批判や不安の声が相次いだ[97][98]。オペレーティングシステムや関連する技術のニュースを扱うOSNewsは、ライアットゲームズとその親会社であるテンセントがユーザーのデータを密かに探り出すことや、カーネルドライバが第三者によって悪用される可能性があることへの懸念を示した[98]。ライアットゲームズはこれらの批判に対して、ドライバが「コンピュータに関する情報を収集および送信することはない」と述べ、Vanguardの脆弱性を発見した者に対して報奨金を支払う新たな報奨金プログラムを立ち上げた[97][99]。
eスポーツ
本作は、他のタクティカルFPSと同様にeスポーツの競技タイトルとして活発に興行展開されている。2020年9月、Riot Gamesは本作におけるEスポーツシーンの基盤を作るために、初の地域別公式大会「First Strike」の開催を発表した。2020年11月、Riot Gamesは「Valorant Champions Tour(VCT)」という年間を通じて開催される競技大会の枠組みを発表した[100]。VCTの内容はシーズンごとに度々変更が行われている[101]。
2021年からVCTは開催されており、当初はアメリカ、EMEA、アジア太平洋、韓国、日本、ブラジル、ラテンアメリカの7地域ごとに大会が行われ、その上位チームが「Masters」などの国際大会に出場できるシステムであった。2022年9月21日、7地域制を廃止し、Americas、EMEA、Pacificの3地域を国際地域として、2023年シーズンより新たに公式リーグとして制定することをRiot Gamesが発表した[102]。パートナーチームとしてそれぞれ地域ごとに各10チーム、計30チームを選出。2024年シーズンより4つ目の国際地域としてChina Leagueが加わり、さらに10チームが選出された。
Riot Gamesは、International Leaguesを新設するにあたり、
- 「常にファンを最優先し、多様性豊かなコミュニティーを称え、プロ選手の支援に全力を尽くす」という私たちのビジョンに賛同する組織
- 優れたコンテンツ、魅力的なブランド、求心力のあるロスターを持続的に展開することでファンとの深いつながりを築いてきた組織
- 長期的視点を持ち、事業継続性を意識した経営をしている組織
この3つの条件を満たしたチームをパートナーチームとして選出しており、2022年シーズンまでの競技成績は決定的要因としていないと発表している[102]。日本からは、ZETA DIVISION、DetonatioN FocusMeが選出され、Pacificに所属している。
パートナーチームに選出されたチームは、Challengersに出場することはできないが、降格システムはない。Ascensionを勝ち抜いてInternational Leaguesに昇格した非パートナーチームは、結果の如何にかかわらず2年後は再びChallengersから出場することになるため、3年連続でInternational Leaguesに出場することはできない[103]。
大会一覧、大会の仕組み
現在、世界チャンピオンを決めるグローバルイベントはInternational Leaguesに所属するチームのみが出場できる仕組みになっている。それ以外のチームはグローバルイベントへの出場ができないため、Challengers、さらにAscensionでの勝ち抜きを目指す。
VCTの大会は以下の通り。
グローバルイベント・インターナショナル
- Kick-off - International Leaguesと同じく各国際地域で開催され、それぞれ上位2チームがMasters 1に進出する。
- International Leagues (Stage 1-2) - Stage 1は各国際地域の上位3チームがMasters 2に進出する。Stage 2は各国際地域の上位3チームがChampionsに進出し、4位以下のチームの中からチャンピオンシップポイントが一番高いチームがそれぞれ各国際地域の4番目のチームとしてChampions出場資格を得る。
- VALORANT Masters - シーズン暫定王者を決めるグローバルイベント(国際大会)。シーズン途中に複数回行われる。
- VALORANT Champions - そのシーズンの世界チャンピオンを決めるグローバルイベント。年間を通じて一度だけ開催され、そのシーズン最後の大会となる。
- VALORANT Game Changers Championship - 女性やトランスジェンダーなどの選手のためのグローバルイベント。Riot GamesはGame Changersを通じて、女性選手の数を増やし、ChallengersやInternational Leaguesへの選手進出を目標としている。
チャンピオンシップポイントは、International Leaguesのリーグとプレイオフのなかで1回勝利するごとにチームに1ポイント付与される(Kick-off、Mastersは対象外)。プレイオフのシードを獲得したチームは、対戦数が少なくなるため追加でポイントが付与される。また、Kick-off、Masters、International Leagues Stage 1-2に優勝すると3ポイント獲得できる[104]。このポイントの制定により、もしリーグ戦の途中でプレイオフ進出ができなくなってしまっても、消化試合になってしまう可能性を避けられるようになった。また、以前はMastersの優勝のメリットは、そのチームが所属する地域のChampions出場枠が増えるに対し、優勝チームへポイントを付与することで、そのチーム自身にメリットが発生するようになった。
国内大会・地域大会
- VALORANT Challengers (Split 1-2) - International Leaguesの出場資格を有していないチームが出場する、国・地域ごとに開催される大会。出場チームはこの大会を勝ち抜き、Ascensionへの出場を目指す。
- VALORANT Challengers Ascension - Challengers Split 2の優勝チームが各国際地域ごとに振り分けられ、International Leaguesへの昇格をかけて出場する大会。昇格チームは次のシーズンから2年間、International Leaguesの出場資格を得る。
- VALORANT Game Changers - 女性やトランスジェンダーなどの選手のために、国・地域ごとに開催される大会。出場チームはこの大会を勝ち抜き、Championshipへの出場を目指す。
Ascensionは、2024年シーズンまでは優勝チームのみがInternational Leaguesへ昇格するが、2025年シーズン以降は上位2チームが昇格する。これは、2023年シーズンのAscension優勝チームが2年経過により2026年シーズンのInternational Leaguesの出場資格を失い、その後毎年資格を失う非パートナーチームが発生するためである。International Leaguesは、2023年シーズンは各10チームずつで開催されるが、毎年各1チームずつ増えていき、2027年シーズン以降は各14チームずつで開催される。
過去に開催されていた大会
- Last Chance Qualifier - 通称LCQ。Champions直前に実施され、その時点で出場資格を有していないチームがChampions出場権をかけて戦う。2024年シーズンより、チャンピオンシップポイントの制定に伴い廃止。
- LOCK//IN - 2023年シーズンのみ実施。International Leaguesの全30チームと、中国の2チームが参加。優勝チームが所属する地域は、Mastersの参加枠が1枠追加される。このシーズンでは各チームの準備期間確保のためInternational LeaguesのSplit 1(当時はStageではない)を開催せず、その代わりの大会として開催された。
- VCT Challengers (Stage 1‐2) - Mastersの予選となる地域大会。2023年シーズンより、International Leaguesの創設に伴い廃止。
2022年シーズンまでのChampionsへの参加条件は、Mastersで優勝する、またはChallengers、Mastersの結果をもとに各地域のサーキットポイントランキングで上位に入ることであった。サーキットポイントランキングで中位に位置するチームは、各地域で行われるLast Chance Qualifierで優勝することで、Championsへの出場権を得ることができた。2023年シーズンにInternational Leaguesの創設に伴いサーキットポイント制が廃止され、International Leagues出場資格のないチームは、Masters、Championsといったグローバルイベントに出場することができなくなった。
開催年 | 日程 | 大会名 | 開催地 | 決勝 | 賞金総額(米ドル) | |||
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優勝 | 結果 | 準優勝 | ||||||
2021年 | 5月24日 - 5月30日 | Masters Stage 2 | レイキャヴィーク | Sentinels | 3 | 0 | Fnatic | $600,000 |
9月10日 - 9月19日 | Masters Stage 3 | ベルリン | Gambit Esports | 3 | 0 | Team Envy | $700,000 | |
12月1日 - 12月12日 | Champions | ベルリン | Acend | 3 | 2 | Gambit Esports | $1,000,000 | |
2022年 | 4月10日 - 4月24日 | Masters Stage 1 | レイキャヴィーク | OpTic Gaming | 3 | 0 | LOUD | $675,000 |
7月10日 - 7月24日 | Masters Stage 2 | コペンハーゲン | FunPlus Phoenix | 3 | 2 | Paper Rex | $650,000 | |
8月31日 - 9月18日 | Champions | イスタンブール | LOUD | 3 | 1 | OpTic Gaming | $1,000,000 | |
2023年 | 2月13日 - 3月4日 | LOCK//IN | サンパウロ | Fnatic | 3 | 2 | LOUD | $100,000 |
6月11日 - 6月25日 | Masters Tokyo | 千葉市[注釈 2] | Fnatic | 3 | 0 | Evil Geniuses | $1,000,000 | |
8月6日 - 8月26日 | Champions | ロサンゼルス | Evil Geniuses | 3 | 1 | Paper Rex | $1,000,000 | |
2024年 | 3月15日 - 3月25日 | Masters Madrid | マドリード | Sentinels | 3 | 2 | Gen.G | $500,000 |
5月23日 - 6月9日 | Masters Shanghai | 上海 | ||||||
8月1日 - 8月25日 | Champions | ソウル |
注釈
出典
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