UEFAチャンピオンズリーグ 2005-06 決勝 試合

UEFAチャンピオンズリーグ 2005-06 決勝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/03 06:59 UTC 版)

試合

概要

FCバルセロナはシャビ・エルナンデスアンドレス・イニエスタを先発メンバーから外し、中盤にエジミウソンマルク・ファン・ボメル、デコを配置した4-3-3フォーメーションを展開した。この試合がFCバルセロナでのラストゲームになる可能性のあったヘンリク・ラーションはベンチから試合開始の笛を聞いた。一方のアーセナルFCは負傷中のローレン・エタメ・マイヤーの代わりの右サイドバックにエマニュエル・エブエを先発で起用し、シーズン中怪我に悩まされて今大会では2試合しか出場機会のなかったアシュリー・コールが左サイドバックに復帰した。1トップのアンリの背後にはフレドリック・ユングベリが位置した[26][27]

どちらのチームもホーム用ユニフォームカラーに臙脂色を採用しているため、アーセナルFCの選手たちはアウェー用の黄色いユニフォームに着替え、FCバルセロナはホーム用のユニフォームを着た。アーセナルFCがコイントスに勝利し、FCバルセロナのキックオフで試合が始まった[28]。FCバルセロナは開始直後からプレッシャーにさらされ、アンリが2度もバルデスにセーブを強いた。7分に角度のない場所からFCバルセロナのジュリが放ったシュートはイェンス・レーマンに防がれた。11分にはFCバルセロナが32mの距離からのフリーキックを獲得したが、ロナウジーニョのキックは枠から大きく外れた。18分にはこぼれ球をジュリが押し込み、FCバルセロナが先制点を決めたかと思われたが、その直前にレーマンのファールがあったとして得点は認められなかった。レーマンがペナルティエリアの外でエトオを倒したとして一発退場処分を受けたが、これはUEFAチャンピオンズリーグ決勝史上初の退場者であった。レーマンを失ったアーセナルFCはピレスをベンチに下げて控えGKのマヌエル・アルムニアを投入した[26]。試合が再開されてロナウジーニョが蹴ったフリーキックは枠を外れた。レーマンの退場してからFCバルセロナはさらなる圧力をかけ、エブエは苦し紛れのタックルを放って警告を受けた[26]。数的不利のアーセナルFCは35分にフリーキックからソル・キャンベルがヘディングシュートで先制点を決めた。この発端となったファールはカルレス・プジョルがエブエを倒したことにより獲得したものであるが、エブエのプレーがシミュレーションであったと考える者もいた[28][29]。前半終了間際にはFCバルセロナのエトオがシュートを放ったが、アルムニアが弾いたボールはゴールバーに当たって得点にはならず、アーセナルFCが1点のリードを保って前半を終えた[30]。FCバルセロナは前半途中に負傷したエジミウソンをイニエスタと交代させて後半に備えた[26]

優勝メダルを受け取ったFCバルセロナの選手たち

後半が開始してすぐの時間内は両チームとも決定機を作れなかったが、6分にはイニエスタがアルムニアにセーブを強いるシュートを放った。60分にはFCバルセロナがマルク・ファン・ボメルを下げてストライカーのラーションを投入した[26]。その数分後にアンリからのパスを受け取ってアレクサンドル・フレブが放ったシュートは枠外に飛んだ。アーセナルFCは相手FWへの圧力を強め、アンリとユングベリのふたりがシュートを放った。FCバルセロナはオレゲール・プレサスをベレッチと交代させ、アーセナルFCはセスク・ファブレガスマチュー・フラミニと交代させた[28]。76分、イニエスタがサイドにいたラーションにボールを展開し、ラーションからのパスを受けたエトオが同点ゴールを決めた[26]。その4分後にはラーションがベレッチにクロスを上げ、ベレッチが放ったシュートはアルムニアの足に当たってゴールに入り、FCバルセロナが2-1と逆転した[28]。アーセナルFCはフレブをベンチに下げ、レジェスを投入して同点ゴールを狙ったが、その逆にFCバルセロナに追加点のチャンスを許し、ジュリに枠内シュートを打たれた。そのすぐ後にはラーションがアルムニアのプレーを妨害したとして警告を受けた[26]

アーセナルFCの反撃もむなしく、FCバルセロナが2-1で勝利して優勝を決めた。表彰台がすみやかにグラウンド中央に設置され、FCバルセロナの選手たちが優勝トロフィーと優勝メダルを受け取った。キャプテンのプジョルはUEFAのレナート・ヨハンソン会長から優勝トロフィーを手渡され、クラブ2度目の優勝に対して祝福の言葉を受けた[28]

試合開始時点でロナウジーニョが得点ランキング2位(7得点)、エトオが得点ランキング4位タイ(5得点)に位置していたが、9得点のアンドレイ・シェフチェンコには及ばず、シェフチェンコが得点王のタイトルを獲得した[31]

8月25日に行われたUEFAスーパーカップではUEFAカップ王者のセビージャFCに3-0で快勝した[32]。12月にはFCバルセロナはFIFAクラブワールドカップに出場し、初戦となった準決勝のクルブ・アメリカ戦に4-0で大勝したが、決勝ではコパ・リベルタドーレスで優勝したSCインテルナシオナルに0-1で敗れた[33]

詳細

2006年5月17日
20:45 CEST
バルセロナ 2 - 1 アーセナル
エトオ  76分
ベレッチ  81分
レポート
[34][35]
キャンベル  37分
スタッド・ド・フランス ,サン=ドニ
観客数: 79,500
主審: テリエ・ホーゲ
バルセロナ
アーセナル
GK 1 ビクトル・バルデス
RB 23 オレゲール・プレサス 69分 71分
CB 4 ラファエル・マルケス
CB 5 カルレス・プジョル
LB 12 ジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト
DM 15 エジミウソン 46分
CM 20 デコ
CM 17 マルク・ファン・ボメル 61分
RW 8 リュドヴィク・ジュリ
LW 10 ロナウジーニョ
CF 9 サミュエル・エトオ
控え
GK 25 アルベルト・ジョルケラ
DF 2 ジュリアーノ・ベレッチ 71分
DF 16 シウヴィーニョ
MF 3 ティアゴ・モッタ
MF 6 シャビ・エルナンデス
MF 24 アンドレス・イニエスタ 46分
FW 7 ヘンリク・ラーション 90+3分 61分
監督
フランク・ライカールト
GK 1 イェンス・レーマン  18分
RB 27 エマニュエル・エブエ 22分
CB 28 コロ・トゥーレ
CB 23 ソル・キャンベル
LB 3 アシュリー・コール
RM 7 ロベール・ピレス 18分
CM 19 ジウベルト・シウバ
CM 15 セスク・ファブレガス 74分
LM 13 アレクサンドル・フレブ 85分
SS 8 フレドリック・ユングベリ
CF 14 ティエリ・アンリ 51分
控え
GK 24 マヌエル・アルムニア 18分
DF 20 フィリップ・センデロス
DF 22 ガエル・クリシー
MF 16 マチュー・フラミニ 74分
FW 9 ホセ・アントニオ・レジェス 85分
FW 10 デニス・ベルカンプ
FW 11 ロビン・ファン・ペルシ
監督
アーセン・ベンゲル


マン・オブ・ザ・マッチ
ロナウジーニョ (FCバルセロナ)

副審
Steinar Holvik
Arild Sundet
第4の審判
Tom Henning Øvrebø

統計

前半[36]
バルセロナ アーセナル
ゴール 0 1
シュート 8 4
枠内シュート 3 3
ボール支配率 59% 41%
コーナーキック 1 1
ファール 10 7
オフサイド 0 0
イエローカード 0 1
レッドカード 0 1
後半[35]
バルセロナ アーセナル
ゴール 2 0
シュート 12 4
枠内シュート 6 2
ボール支配率 69% 31%
コーナーキック 2 3
ファール 10 9
オフサイド 1 1
イエローカード 2 1
レッドカード 0 0
前後半[37]
バルセロナ アーセナル
ゴール 2 1
シュート 20 8
枠内シュート 9 5
ボール支配率 64% 36%
コーナーキック 3 4
ファール 20 16
オフサイド 1 1
イエローカード 2 2
レッドカード 0 1

  1. ^ 『05-06 ヨーロッパ・リーグ パーフェクト決算号』、ベースボール・マガジン社、2005年、8頁
  2. ^ 『05-06 ヨーロッパ・リーグ パーフェクト決算号』、ベースボール・マガジン社、2005年、7頁
  3. ^ Regulations of the UEFA Champions League 2006/07” (PDF). UEFA. pp. 7–9: §§1.01–1.02 Entries for the competitions (2006年3月). 2007年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年7月16日閲覧。
  4. ^ Regulations of the UEFA Champions League 2006/07, p.38: Annex 1a: Access List for the 2006/07 UEFA Club Competitions
  5. ^ Regulations of the UEFA Champions League 2006/07, pp. 8–9: §§4.03–4.06: Group stage
  6. ^ Regulations of the UEFA Champions League 2006/07, pp. 9–10: §§4.07–4.10: First knock-out round / Quarter-finals / Semi-finals; §5.01: Away goals, extra time
  7. ^ 2005–06 UEFA Champions League group stage: Group C”. UEFA. 2008年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  8. ^ 2005–06 UEFA Champions League group stage: Group B”. UEFA. 2008年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  9. ^ UEFA Champions League: Season 2005−06: First knockout round”. UEFA. 2008年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ UEFA Champions League: Season 2005-06: Quarter-finals”. UEFA. 2008年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ UEFA Champions League: Season 2005-06: Semi-finals”. UEFA. 2008年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  12. ^ “Anniversary reason for Paris decision”. UEFA (Union of European Football Associations). (2005年4月28日). http://en.uefa.com/uefa/socialresponsibility/newsid=298133.html 2010年12月1日閲覧。 
  13. ^ Match Background”. UEFA. 2010年12月1日閲覧。
  14. ^ Match Press Kit” (PDF). UEFA (2006年5月16日). 2010年12月1日閲覧。
  15. ^ 『05-06 ヨーロッパ・リーグ パーフェクト決算号』、ベースボール・マガジン社、2005年、28頁
  16. ^ Arsenal aim to upset the odds”. BBC Sport (2006年5月16日). 2010年12月1日閲覧。
  17. ^ From the 75th Anniversary to the European Cup (1974-1992)”. FC Barcelona公式サイト. 2010年12月1日閲覧。
  18. ^ Barca retain Spanish league title”. BBC Sport (2006年5月3日). 2010年12月1日閲覧。
  19. ^ a b Deco shrugging off favourites tag”. BBC Sport (2006年5月15日). 2010年12月1日閲覧。
  20. ^ Purists set for dream final”. UEFA (2006年5月16日). 2008年11月25日閲覧。[リンク切れ]
  21. ^ Merseyside revels in Reds victory”. BBC Sport (2005年5月26日). 2010年12月1日閲覧。
  22. ^ a b Winter, Henry (2006年5月15日). “Wenger's pledge give fans cause for optimism”. The Daily Telegraph (London). http://www.telegraph.co.uk/sport/columnists/henrywinter/2336987/Wengers-pledge-gives-fans-cause-for-optimism.html 2010年12月1日閲覧。 
  23. ^ 『05-06 ヨーロッパ・リーグ パーフェクト決算号』、ベースボール・マガジン社、2005年、9頁
  24. ^ Wallace, Sam (2006年5月18日). “Arsenal 1 Barcelona 2: Barcelona crush heroic Arsenal in space of four brutal minutes”. The Independent (London). http://www.independent.co.uk/sport/football/premier-league/arsenal-1-barcelona-2-barcelona-crush-heroic-arsenal-in-space-of-four-brutal-minutes-478659.html 2010年11月30日閲覧。 
  25. ^ Final linesman denies Barca bias”. BBC Sport (2006年5月16日). 2010年12月1日閲覧。
  26. ^ a b c d e f g Minute by Minute”. UEFA (2006年5月17日). 2010年11月30日閲覧。
  27. ^ Tactical line-up”. UEFA (2006年5月17日). 2008年11月26日閲覧。[リンク切れ]
  28. ^ a b c d e “Arsenal v Barcelona Live”. The Guardian (London). (2006年5月17日). http://football.guardian.co.uk/minbymin/report/0,,1777091,00.html 2010年11月30日閲覧。 
  29. ^ Wenger Slams Eboue For Diving”. MTN Football (2006年5月21日). 2010年11月30日閲覧。
  30. ^ Barcelona 2-1 Arsenal”. BBC Sport (2006年5月17日). 2010年12月1日閲覧。
  31. ^ 『05-06 ヨーロッパ・リーグ パーフェクト決算号』、ベースボール・マガジン社、2005年、6頁
  32. ^ Barcelona 0–3 Sevilla”. BBC Sport (2006年8月25日). 2010年11月30日閲覧。
  33. ^ Internacional sink Barca in final”. BBC Sport (17 December 2006年12月17日). 2010年11月30日閲覧。
  34. ^ Line-ups” (PDF). UEFA (2006年5月17日). 2010年12月1日閲覧。
  35. ^ a b Full time report” (PDF). UEFA (2006年5月17日). 2010年12月1日閲覧。
  36. ^ Half time Report” (PDF). UEFA (2006年5月17日). 2010年12月1日閲覧。
  37. ^ Statistics”. UEFA (2006年5月17日). 2008年11月27日閲覧。[リンク切れ]
  38. ^ Experts views on Arsenal”. BBC Sport (2006年5月18日). 2010年12月1日閲覧。
  39. ^ Valdés save vital to victory”. UEFA (2006年5月17日). 2008年11月26日閲覧。[リンク切れ]
  40. ^ Wenger left frustrated by defeat”. BBC Sport (2006年5月18日). 2010年11月26日閲覧。
  41. ^ Furious Henry hits out at referee”. BBC Sport (2006年5月18日). 2010年12月1日閲覧。
  42. ^ Henry to stay a Gunner until 2010”. BBC Sport (2005年5月19日). 2010年12月1日閲覧。
  43. ^ Larsson excited about his future”. BBC Sport (2006年5月18日). 2010年11月30日閲覧。





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