EPROM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/20 06:43 UTC 版)
用途
大量生産する場合はマスクROMが最もコストが低くなる。しかし、ICマスク層を格納するデータに従って設計するため、数週間の準備期間が必要となる。当初EPROMは大量生産用途には高価すぎて使えないと見られ、開発途中でしか使われないと見られていた。間もなく、少量生産ならEPROMでもコスト的に見合うことが判明し、ファームウェアを素早く更新できるという利点も判明した。なお、多品種少量生産向けに、パッケージの窓を廃して廉価なプラスチックモールドとし、ワンタイムPROM(OTP:One-Time Programmable ROM)とした製品もあったが、メモリチップ自体は普通のUV-EPROMであり、プログラミングにはUV-EPROM用のライタ等をそのまま流用できる。
EEPROMやフラッシュメモリが登場する以前、プログラム格納用EPROMを内蔵したマイクロコントローラも存在した。例えば、Intel 8048、Freescale 68HC11、PICマイクロコントローラの"C"バージョンなどがある。これらのマイクロコントローラにはやや高価な石英ガラスの窓付きのバージョンがあり、EPROMのように内蔵プログラムを消去できるのでプログラム開発・デバッグに便利だった。開発後の生産用に窓のない廉価版もあった。
EPROM の容量と機種
EPROMはパッケージの大きさの面でも記憶容量の面でも様々なものがある。メーカーが異なっていても機種番号が同じものは、少なくとも読み出しに関しては互換性がある。ただし書き込み方法はメーカーによって微妙に異なる。
ほとんどのEPROMは、A9ピンに12Vを印加して "signature mode" にすると2バイトの識別データを読み出せる。ただしこれは普遍的ではないので、メーカーと機種を手動で確認してから、適切な書き込み手段を選択すべきである[8]。
最初のEPROMはIntel 1702Aであり、これはP-MOS構造のため、負電圧が必要など、使いにくいものであった。その後、2716以降、5V単一電源になり、使いやすさが向上した。その後は、ピン配置の互換を出来るだけ保ちながら、容量を増やしたものが提供されている。
EPROMの機種 | 容量 — ビット数 | 容量 — バイト数 | 容量 - 16進 | 最終アドレス(16進) |
---|---|---|---|---|
1702, 1702A | 2 Kbit | 256 | 100 | FF |
2704 | 4 Kbit | 512 | 200 | 1FF |
2708 | 8 Kbit | 1 KB | 400 | 3FF |
2716, 27C16 | 16 Kbit | 2 KB | 800 | 7FF |
2732, 27C32 | 32 Kbit | 4 KB | 1000 | FFF |
2764, 27C64 | 64 Kbit | 8 KB | 2000 | 1FFF |
27128, 27C128 | 128 Kbit | 16 KB | 4000 | 3FFF |
27256, 27C256 | 256 Kbit | 32 KB | 8000 | 7FFF |
27512, 27C512 | 512 Kbit | 64 KB | 10000 | FFFF |
27C010, 27C100 | 1 Mbit | 128 KB | 20000 | 1FFFF |
27C020 | 2 Mbit | 256 KB | 40000 | 3FFFF |
27C040, 27C400 | 4 Mbit | 512 KB | 80000 | 7FFFF |
27C080 | 8 Mbit | 1 MB | 100000 | FFFFF |
27C160 | 16 Mbit | 2 MB | 200000 | 1FFFFF |
27C320 | 32 Mbit | 4 MB | 400000 | 3FFFFF |
ギャラリー
8749 マイクロコントローラ。内蔵EPROMにプログラムを格納する。
注釈
出典
- ^ Chih-Tang Sah , Fundamentals of solid-state electronics World Scientific, 1991 ISBN 9810206372, page 639
- ^ Vojin G. Oklobdzija, Digital Design and Fabrication, CRC Press, 2008 ISBN 0849386020, page 5-14 through 5-17
- ^ John E. Ayers ,Digital integrated circuits: analysis and design, CRC Press, 2004 , ISBN 084931951X, page 591
- ^ Paul Horowitz and Winfield Hill, The Art of Electronics 2nd Ed. Cambridge University Press, Cambridge, 1989 ISBN 0521370957 page 817
- ^ May 10, 1971 issue of Electronics Magazine in an article written by Dov Frohman
- ^ “eprom”. 2011年3月21日閲覧。 090508 jmargolin.com
- ^ Sah 1991 page 640
- ^ U.S. International Trade Commission, ed (October 1998). Certain EPROM, EEPROM, Flash Memory and Flash Microcontroller Semiconductor Devices and Products Containing Same, Inv. 337-TA-395. Diane Publishing. pp. 51–72. ISBN 1428957219 The details of SEEQ's Silicon Signature method of a device programmer reading an EPROM's ID.
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