2005年J2最終節 入れ替え戦

2005年J2最終節

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/14 06:32 UTC 版)

入れ替え戦

概要

入れ替え戦に進出した甲府の相手はこの年のJ1で16位で2年連続での入れ替え戦となった柏レイソル。奇しくも36年前JSLとの入れ替え戦にて、前身の甲府クラブの昇格を阻んだ日立製作所サッカー部を母体とするクラブである。

柏は当時現役日本代表である玉田圭司をはじめ明神智和波戸康広永田充など日本代表経験を持つ選手やその後日本代表に選出される矢野貴章李忠成、他にも土屋征夫谷澤達也など日本人選手だけでも錚々たるタレントが揃っており、さらに外国人選手もシーズン中盤に元ブラジル代表フランサパリ・サンジェルマンFCに所属していたレイナウドを補強するなど甲府との選手層の差は明らかであった。また前年の入れ替え戦でも福岡に2戦2勝と危なげなく残留を決めており、その福岡より成績が劣っていた甲府が相手であったことから下馬評では柏の有利が予想された。

しかし実際は玉田が疲労骨折のため今シーズンの出場が絶望になり、また明神やフランサも怪我で万全な状況ではないなどチーム状況は思わしくなかった。さらに前年は福岡に対して万全の対策を行なっていたのに対し、今回は入れ替え戦の相手を仙台と想定しその対策を行なっていたがプレースタイルが異なりプロ化後は対戦経験のない甲府が相手になった事で現場が混乱、相手が決定してから入れ替え戦までのわずか3日の間で少ない情報をもとに非公開練習で対策をとらざるを得なかった。同年夏にコーチに就任したラモス瑠偉が選手に檄を飛ばすなどしていたが、12月5日付のスポーツニッポンの記事では選手は明らかに動揺の色を隠せず、練習が終わった後も悲壮感を漂わせている状態であった。

それに対し、逆転で入れ替え戦進出を決めた甲府は柏の入れ替え戦進出が11月26日と早めに決まっていたことから万全な対策をとることが可能で、また報道陣に対し練習を公開するなど余裕を見せ、12月6日付のスポーツニッポンの記事で監督や選手は「いつもどおりのサッカーをするだけ」と強気なコメントを残している。

第1戦

ヴァンフォーレ甲府 2 - 1 柏レイソル
倉貫一毅  25分
バレー  49分
公式記録 レイナウド  11分
ヴァンフォーレ甲府
GK 34 阿部謙作
DF 04 山本英臣
DF 15 アライール 74分
DF 02 秋本倫孝 41分
DF 05 青葉幸洋
MF 28 奈須伸也 68分
MF 08 倉貫一毅
MF 10 藤田健
FW 14 石原克哉 72分
FW 16 バレー
FW 18 長谷川太郎 22分
サブメンバー:
GK 01 松下太輔
DF 03 津田琢磨 74分
MF 25 鈴木健太
FW 09 須藤大輔 72分
FW 23 山崎光太郎
監督
大木武
柏レイソル
GK 01 南雄太
DF 20 永田充
DF 04 波戸康広
DF 17 土屋征夫
MF 15 谷澤達也 84分
MF 23 大谷秀和
MF 13 小林祐三 71分
MF 14 大野敏隆
MF 12 増田忠俊 58分
FW 18 矢野貴章
FW 08 レイナウド
サブメンバー:
GK 31 加藤慎也
DF 32 石川直樹
MF 02 小林亮 58分
FW 25 李忠成 84分
FW 19 宇野沢祐次 71分
監督
早野宏史

小瀬陸上競技場での第1戦。リーグ最終節での退場により杉山は出場停止のため、代わりにこの年限りで退団が決まっていた青葉幸洋が先発した。

あいにくの雨模様のなか、前半11分にセットプレーからレイナウドがゴールを決め柏が先制。しかし甲府も負けじと前半25分にアライールのフィードをバレーが折り返し、最後はキャプテン・MF倉貫一毅が決めて同点に追いつき前半を1-1で折り返す。

後半開始直後の3分、甲府は藤田健のロングスローから相手ゴールにたたみかけ、最後はバレーが決め、逆転に成功する。しかしその後は柏ペースとなり、途中宇野沢祐次李忠成の両FWを投入し、4トップで襲い掛かる。しかし甲府も必死の守りを見せ、後半40分に甲府GK阿部がパックパスをキャッチするというミスによりゴールまでわずか5mのフリーキックを与えるというピンチを迎えるが、これも凌ぎ切りゴールを割らせなかった。

試合終了直前奈須伸也が突破した相手FW矢野貴章にタックルした瞬間競技場が停電し、試合が30分近く中断するというハプニングがあったものの再開後に試合終了となり、甲府は大事なホームゲームでの初戦を白星で飾った。

第2戦

柏レイソル 2 - 6 ヴァンフォーレ甲府
レイナウド  52分
宇野沢祐次 86分
公式記録 バレー  10分27分53分68分69分87分
日立柏サッカー場
観客数: 12,013人
主審: 岡田正義
柏レイソル
GK 01 南雄太
DF 04 波戸康広 51分
DF 20 永田充  33分  49分
DF 17 土屋征夫 60分
MF 14 大野敏隆
MF 07 明神智和
MF 23 大谷秀和 45分
MF 24 平山智規 19分 51分
MF 10 クレーベル
FW 08 レイナウド 76分
FW 18 矢野貴章 36分
サブメンバー:
GK 31 加藤慎也
DF 32 石川直樹
MF 13 小林祐三 51分
FW 19 宇野沢祐次 45分
FW 11 フランサ 53分 36分
監督
早野宏史
ヴァンフォーレ甲府
GK 34 阿部謙作
DF 32 杉山新 39分 89分
DF 15 アライール 6分
DF 02 秋本倫孝
DF 04 山本英臣
MF 28 奈須伸也 55分
MF 08 倉貫一毅
MF 10 藤田健 80分
FW 14 石原克哉
FW 16 バレー
FW 18 長谷川太郎 60分
サブメンバー:
GK 01 松下太輔
DF 05 青葉幸洋 89分
DF 19 池端陽介 60分
MF 25 鈴木健太 80分
FW 09 須藤大輔
監督
大木武

ホームでの勝利が必須となった柏は第1戦から3人を入れ替えて迎え撃つが、前半10分にクロスのこぼれ球を復帰した甲府DF杉山新が速いクロスをゴール正面に送ると、DFの間で受けたFWバレーがトラップでゴール前に抜け出してゴールに流し込み、早々に先制点を挙げる。さらに27分、ゴール前にドリブルで仕掛けた甲府FW石原克哉を柏MFMF平山智規がペナルティエリア内で倒してしまいPKの判定。これをバレーが決めて2-0とする。柏は36分にFW矢野貴章に替えてこの年鳴り物入りで加入しながらほとんど出番の無かったFWフランサを投入するが得点を返すことが出来ず、2-0のまま前半を終える。

後半4分には、第1戦の敗戦後に「バレーは思ったよりは恐くなかった」[4] と語っていた柏DF永田充がこの日2枚目のイエローカードを貰い退場処分となり、数的にも不利になる。その後、後半7分にパスをつないでゴール前に迫り、最後はFWレイナウドが倒れ込みながらゴールを決めて1点を返すものの、直後のキックオフから絶妙なパス回しで柏DF陣がボールを触れないまま最後はバレーに試合を決定付ける3点目を決められる。その後も集中が切れてしまったように思える柏の前に甲府攻撃陣は足を休めることはなく、後半23分にはMF藤田健のカットインからのシュートのこぼれ球をバレーが詰めて4点目。さらにその直後にも自陣からのロングボールを中盤で受けたバレーがそのまま切り込んで5点目を挙げ、この時点で野口幸司エジウソン中山雅史の3人が持つ1試合個人最多得点記録となる5得点に並ぶ。後半41分に小林祐三からのクロスの流れたところを途中出場の柏FW宇野沢祐次が押し込んで1点を返すが、後半42分に再びカウンターから一人でゴール前に持ち込んだバレーが新記録となる6得点目を挙げ、このまま試合終了。2戦合計8-3で甲府がJ2初の入れ替え戦によるJ1昇格を果たした。一方の柏は1995年のJリーグ加盟から11年目にして初のJ2降格が決定した。


  1. ^ 千葉がヤマザキナビスコカップ決勝まで進出したため、他チームとは別に第39節と第40節の間に開催された。
  2. ^ a b “公式記録 2005 Jリーグ ディビジョン2 第40節”. Jリーグ公式サイト. http://www.j-league.or.jp/data/view.php?d=j2&t=result&s=40&y=2005 2011年8月20日閲覧。 
  3. ^ “公式記録 2005 Jリーグ ディビジョン2 第41節”. Jリーグ公式サイト. http://www.j-league.or.jp/data/view.php?d=j2&t=result&s=41&y=2005 2011年8月20日閲覧。 
  4. ^ 気持ちを切り替える柏/入れ替え戦 日刊スポーツ、2005年12月8日


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