東京地下鉄道1000形電車 機器・性能

東京地下鉄道1000形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/05 02:17 UTC 版)

機器・性能

主電動機は吊り掛け駆動式のアメリカ・ゼネラル・エレクトリック (GE) 社製GE-259-C形[注釈 7]を2基搭載する[10](1100形まで同様[10])。

台車は日本車輌製造製がNSK-D18形、増備車の汽車製造製がKSK-3H形で、いずれもアメリカ・ボールドウィン社製Baldwin-A形台車に範をとった形鋼組み立てによる釣り合い梁式台車である[10][11]基礎ブレーキ装置は当初のNSK-D18形では片押し式踏面ブレーキであったが、ブレーキ頻度の高い地下鉄では制輪子の摩耗が激しく、ブレーキ力も不足した[11]。このため、増備車のKSK-3H形では両抱き式踏面ブレーキに変更した[11]1935年(昭和10年)、NSK-D18形も両抱き式踏面ブレーキへの改造と制動筒(ブレーキシリンダー)を14インチから16インチの大きなものへ交換した[11]

制御器はGE社製PC-12-E形電空カム軸式主制御器(直列5段・並列4段・弱め界磁1段)[12]であり、ブレーキは上述の通りM自動空気ブレーキである。この主制御器は1100形まで使用されている[10][12]1932年(昭和7年)、1002号車において国産の芝浦製作所(現・東芝)製の主制御器・電動機が試験採用された[12]

電動機は片側の台車に2基を搭載し、もう片方の台車は付随台車とした。ただし、1928年(昭和3年)に台車重量を同じにすることでブレーキ力を均一にするため、1台車1電動機方式に改造した[11]歯車比は3.81と大きく採っている。1両当たり電動機は2基搭載のため、起動加速度は2.0km/h/s。以降基本的に1800形まで変わらない。

連結器は1001 - 1010までは柴田式並形自動連結器であったが[8]、2台連結運転時に渡り線など小さい曲線の通過ができないことから、衝動抑止と電気や空気の連結もできるトムリンソン式密着連結器に変更された[8]。1011 - 1021については当初からトムリンソン式密着連結器に変更され、以後銀座線ではこれが標準となった。


注釈

  1. ^ 当初の色が廃車時まで維持されていた訳ではなく、引退時点では2000形などと同様のオレンジ色となっていた。
  2. ^ これと同様のドア開閉スイッチは現在も名古屋鉄道西日本鉄道の車両で使用されている。
  3. ^ 吉川 (1994) によると、「リコ」は、このタイプのつり革を製造していた「Railway Improvement Co.」が商標として使用していた「RICO」から。ニューヨーク市の地下鉄などで採用されていた。
  4. ^ これはニューヨーク市営地下鉄のシステムをそのまま模倣したものであった。
  5. ^ 最大12両編成の電車編成のブレーキを空気圧指令のみで指令可能とした、当時最新の自動空気ブレーキシステム。階段緩めを可能とするなど高度な機能を搭載し、応答速度も高かったが、機構が複雑かつ高精度を要求され、日本での採用例は高速運転を実施していた新京阪鉄道・阪和電気鉄道大阪電気軌道参宮急行電鉄の関西私鉄4社と大阪市電気局高速電気軌道の合計5社局に限られた。
  6. ^ AMMブレーキでは弁の機構上の制約から6両編成以上で使用すると緊急時に緩解不良が発生する恐れがあり、保安上5両編成が上限とされた。なお、銀座線では5両編成でさえ増結された1両分について客用扉の閉め切り扱いを一部の駅で実施する必要が生じており、1960年の6両運転実施にあたっては、車両側のブレーキ改修に加え、各駅ホームの延伸など様々な施設改修工事を強いられている。
  7. ^ 端子電圧600V時定格出力90kW/658rpm。
  8. ^ 当時、高松琴平電鉄へ払い下げられた分も10000形に装着されて少なくとも2両分が現存していたが、こちらは汽車製造製3Hで1001の装着していた旧台車とは異なっていた。

出典

  1. ^ 『東京地下鉄道史. 坤』東京地下鉄道](国立国会図書館デジタルコレクション)。
  2. ^ 2017年ニュースリリース|東京メトロ「日本初の地下鉄車両1001号車」が国の重要文化財指定へ”. 東京地下鉄 (2017年3月10日). 2017年7月3日閲覧。
  3. ^ 「日本初の地下鉄車両1001号車」が国の重要文化財指定へ 別添ファイル” (PDF). 東京地下鉄. 2017年7月3日閲覧。
  4. ^ 日本初の地下鉄車両1001号車 国の重要文化財指定へ - 日本車輌製造
  5. ^ a b c d e 帝都高速度交通営団『60年のあゆみ - 営団地下鉄車両2000両突破記念 - 』pp.72 - 74。
  6. ^ 「日本車輛製品案内 昭和3年」記載の数値による。
  7. ^ 新型車両1000系|銀座線1000系スペシャルサイト|東京メトロ
  8. ^ a b c 『東京地下鉄道史. 坤』東京地下鉄道]。p.348 - 351。
  9. ^ a b 帝都高速度交通営団『60年のあゆみ - 営団地下鉄車両2000両突破記念 - 』p.112 。
  10. ^ a b c d e f 『東京地下鉄道史. 坤』東京地下鉄道]。p.326。
  11. ^ a b c d e f g 帝都高速度交通営団『60年のあゆみ - 営団地下鉄車両2000両突破記念 - 』pp.98 - 99。
  12. ^ a b c 帝都高速度交通営団『60年のあゆみ - 営団地下鉄車両2000両突破記念 - 』p.104 。






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