電磁ポテンシャル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/24 12:20 UTC 版)
真空中における電磁場の電磁ポテンシャルによる記述
空中でのマクスウェルの方程式のうち、電荷によって生じる電磁場の式は
(M2-a) :
(M2-b) :
である。
この式に電磁場の定義式(M0)を代入すると、
(M2'-a) :
(M2'-b) :
が得られる。したがって電磁ポテンシャルを基本的な量として電磁気的現象を記述する場合には式(M2')が場の運動を決定する方程式となる。
マクスウェル自身の原著論文『電磁場の動力学的理論』や原著教科書『電気磁気論』はここでの議論と同じくスカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルから始めて、式(M0)により電磁場を定義している。
その後、電磁ポテンシャル自体の実在性が疑わしいといった理由により、ヘルツらによって電磁ポテンシャルによる記述は排され、式(M1)を電磁場の拘束条件とするようになった。
注釈
- ^ 「スカラーポテンシャル」、「ベクトルポテンシャル」という言葉は本来は電磁気に限らないものでポテンシャル全般を指す言葉である。物理分野、特に電磁気の関わる領域においてはもっぱら静電ポテンシャルと磁気ポテンシャルを指して用いられる。
- ^ 条件式(M0-b)には ∇ が登場するので、A は空間方向には可微分であるが、時間方向については何も言っていないので、原理的には時間方向には不連続になるように選ぶ事も可能である。しかし後述するスカラーポテンシャルを導入するとき、時間方向の可微分性を必要とする。以下、空間方向・時間方向双方に対して無限回可微分な A を選んだものとして議論を進める。
- ^ 名称はルードヴィヒ・ローレンツに由来する。
出典
- 1 電磁ポテンシャルとは
- 2 電磁ポテンシャルの概要
- 3 概要
- 4 真空中における電磁場の電磁ポテンシャルによる記述
- 5 ポテンシャルの導入
- 6 静的な場のポテンシャル
- 7 相対論的な記述
- 8 ラグランジュ形式
- 9 参考文献
- 10 関連語句
電磁ポテンシャルと同じ種類の言葉
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